まっどまっくすこーじ

マイレージ、マイライフのまっどまっくすこーじのレビュー・感想・評価

マイレージ、マイライフ(2009年製作の映画)
4.0
ジョージ・クルーニー主演。
なかなかグッドな映画です。

リストラ通告代理会社の腕利き解雇宣告人であるビンガムは、家庭を持たず、出張用のバックパックに入る分だけしか人生上の荷物を持たない、というポリシーを持っている。

そのビンガムには秘密の目標があり、それはマイレージを○○○○も貯めること。
達成すれば史上七人目だというその記録が夢なのであった。

マイレージがほとんど狂気の沙汰のように貯まるのは、年に340日も全米各地に出張しているからなのだが、ある日、上司に呼び出され本社に帰ると、大卒ルーキーのナタリーが今までの出張方式を廃止して、ネットで解雇宣告するシステムをプレゼンし始めたではないか!

それでは出張がなくなりマイレージも貯まらん!! それでは堪らん!! とばかりにビンガムはナタリーに口撃開始。
その結果、見かねた上司はまずビンガムとナタリーの二人で出張に行ってこい、という指示を出す。

二人出張の日、空港こそ我が家、と自認するビンガムはスマートにメンバー優先サービスを使いこなしてチェックイン。
一方のナタリーはでかくて重そうなケースをゴロゴロさせながらやって来る。
見かねたビンガムが容赦なくナタリーの荷物を仕分けて捨てていくのが可笑しくて良いです。

また、結婚に興味がないビンガムはお気楽な恋人として、同じようにしょっちゅう出張しているアレックスと付き合うようになる。
旅先で時間が合えば逢うという関係を続けていたのだが…

ビンガムには姉と妹がいて、その姉から頼まれて、結婚が決まっている妹のために、妹とフィアンセの写真パネルを旅先の景色と共に撮影することに。
実は妹とフィアンセは不動産ビジネスに投資するので、ハネムーンを諦めていたのだ。
だから代わりにビンガムだけでなく様々な人たちに各地で二人のパネルが映った写真を頼んだのである。
他愛ないエピソードだが、写真を撮るだけなら別にそこに行かなくても構わない、という人もいるだろうし、いや写真だけでは空しいよなぁ、という人もいるでしょう。
妹とフィアンセのパネルをアメリカ各地で映した写真は数えきれないほど多く集まるのですが、その光景を見たビンガムの表情は複雑な様子です。

人生のバックパックに何も入れたくなかったビンガムですが、徐々に出張してマイレージを貯めるだけの生き方に疑問を持つようになってきます。

そんな中、いざ妹の結婚式の日なのですが、何とフィアンセが当日マリッジブルーになり、部屋に引き込もってしまいます。
姉に頼まれ、フィアンセを説得に行くビンガム。
何とかフィアンセを結婚式に向かわせます。

新人のナタリーは解雇宣告する度、解雇される人からの非難や嘆きを受け止めなければならない現実に圧倒されながらも、なんとかネットでの解雇宣告システムに使うフローチャートを作ったりして頑張ります。
しかし、やはりビンガムのようなベテランが直接、解雇宣告をするのとは、どうしても解雇される人たちの受け止め方が違ってくると思います。

ある会社で、解雇宣告された人が嘆きます。
「ずっとこの会社で働いてきて、年収9万ドルになって、家を買って、子供に尊敬されるようにしてきたのに、これからは収入があるようになっても低くなるだろうし、家も小さい所に引っ越さなきゃならないし、子供からは尊敬もされないのか!!」
それにビンガムは答えます。
「そうですね。いろいろ変わってしまうかも知れませんね。でも、子供から尊敬されないのは今と同じですよ。」
「なんだって!?」
「なぜ、子供はスポーツ選手に憧れると思います?」
「そりゃ、金を稼げるからだろう!!」
「……違います。彼らは夢を持っているからですよ。あなたは今まで何か夢を持って生きてきたのですか?」
「………」

台詞通りではありませんが、こういう内容のやり取りがあって、今作がアメリカのリストラの多さを取り上げるだけでなく、リストラされる人はなぜ自分がリストラされたのか、そこに自分自身の問題はなかったのか、ということも提議し、且つ前向きになるべし、というメッセージも発信してるんじゃないかと思うようになりました。

ちなみにこの解雇された人は「セッション」のJ・K・シモンズだったりします(笑)

さて、二人での出張の最後に、上司はネットでの解雇宣告を試す指令を出します。
ナタリーが担当したのですが、解雇宣告されるある一人の女性が、橋から身を投げて自殺すると宣告します。
ショックを受けるナタリー。
ビンガムは今まで実際に自殺した人がいるかどうか判らないが、気にして背負わないように慰めます。

本社に戻り、ネットでの解雇宣告システムが準備されるようになり、出張によるマイレージが貯まらなくなるビンガムですが、人生のバックパックの中に何か入れようか…と思いアレックスの家を訪ねますが…

孤独という実感を噛み締めて帰路につくビンガム。
その機中で、突然アナウンスが聞こえてきます。
「たった今、大きな記録を打ち立てたお客様が……」
ハッとするビンガム……

他人と繋がることを重荷に感じていたかも知れない。
しかし、気付かないだけで実際は人と関わって生きてきたのだ。
そうだ、これだけ膨大な距離を動いてきて、数多くの人と面談をしてきたのだから。

再び本社に戻ると、ナタリーが辞任していてネットでの解雇宣告システムは廃止に…
ナタリーの辞任の原因は、あの出張の時に解雇宣告した女性が……
ビンガムはナタリーが再就職活動する上で役に立ちたいと思い、雇用する企業が参考にできる紹介状を配信します。
そして上司は出張の再開を告げます。

ジョージ・クルーニーはこういう役はほんとに上手いよなぁ。
逆に言えばあまり大作だとダメかも、という感じですが…
でもとにかく良作と呼ばれるものに多く出ている気がします。

ナタリー役のアナ・ケンドリックは顔がトム・クルーズを少女にしたような感じで、トワイライトサーガやピッチ・パーフェクトや50/50に出ているらしいので、注目してみたい女優さんです。

さて、ビンガムは○○○○マイレージが目標でしたが、私もFilmarksレビュー○○○○本を目標にしてみようかな!!

ということで先はまだまだです(^-^)