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白パンと独裁者
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目次

白パンと独裁者の作品紹介

白パンと独裁者のあらすじ

1945年、第二次世界大戦末期のドイツ北部・アムルム島は、本土へ向かう爆撃機が上空を飛行しながらも、どこか楽園のような静寂を保っていた。疎開してきた12歳の少年・ナニングは、戦地から戻らぬ父に代わり、農作業を手伝い妊娠中の母ら家族を支えている。しかし、ヒトラーに心酔する母・ヒレが彼の訃報を受けて心身ともに崩壊してしまうと、ナニングの日常も一変していく。生気を失い、食事を拒むヒレが唯一欲したのは、たっぷりのバターとはちみつが塗られた白パンだったー

白パンと独裁者の監督

ファティ・アキン

原題
Amrum
公式サイト
https://www.bitters.co.jp/shiropan/
製作年
2025年
製作国・地域
ドイツ
上映時間
93分
ジャンル
ドラマ戦争歴史
配給会社
ビターズ・エンド

『白パンと独裁者』に投稿された感想・評価

reb
3.4
久しぶりに試写会に当たり、久しぶりにゲーテ•インスティテュートで鑑賞させていただきました。

1945年第二次世界大戦末期。ドイツ北部にあるアムルム島に、ハンブルクから身重の母と弟妹と疎開して来た12歳の少年ナニング。
父はSSで戦地に。母はヒトラー信奉者。
ヒトラーの死で憔悴した母のために、ナニングはバターをぬり蜂蜜をかけた白パンを探し回る。

ナチスへの忠誠が当たり前で、大好きな母の役にたちたいと願っていた少年は、終戦を喜ぶ島民たちとは明らかに違う母の姿を見て、崩壊しゆくナチス•ドイツのように今まで信じきっていた両親の姿も崩れていく。
そんな少年の心の痛みや葛藤を、白パンを探す冒険の中で丁寧に描いていく。

上空には本土に向かう爆撃機が飛行するが、戦争とは無縁のような、アムルム島ののんびりと美しい自然も本作の見どころ。
干潮時には隣の島まで歩いて行ける広大な干潟や砂丘はため息が出るほど美しい。
そして、アザラシ漁やウサギを捌いたりという経験は少年を少しずつ大人にしていく。

ファスビンダー映画ではお馴染みの役者で、監督業も数多く手がけたハーク•ボームが幼少期の記憶を綴った脚本を、愛弟子のファティ•アキンが映画化。
ボームは本作が遺作で、最後に海を眺めて佇む本人の姿も‥。

ナチスの家族、特に子どもたちの悲劇を扱った作品は珍しいので、少年の目から見たひとつの歴史の終わりは興味深かった。

上映後のゲストは、ドイツ出身のマリウス葉さんで、だからなのか、目をキラキラさせた若い女性の方たちが多かった。
試写会。
ファティ・アキン監督の新作。
ハーク・ボーム氏の幼少期をベースとした脚本をアキン監督が映画化したもの。
終戦直前のタイミングの北部のアムルム島が舞台。親がナチスの支持者の少年が、いくつかの”生と死”に直面しながら、戦争や大人の社会に触れていく成長譚。アムルム島の美しい自然の風景、静かで美しいBGMと共に、多くは語らず、映像で見せる。
少年の目線で、終戦と社会の急激な変化が絶妙な機微で描かれていて、ドイツが抱える複雑な歴史性も垣間見える。アムルム島の干潮と満潮の狭間、という設定が少年の心とモヤモヤと相まって、沁み入る作品だった。良い。

ドイツは文化・芸術に多額な支援をしている国のひとつとして知られている。(コロナ禍で、瞬時に芸術支援を決定する速さなどが象徴的。)
芸術分野の産業としての大きさもさることながら、”独裁による自由のない苦しみを強く経験したことで、制限された自由の先にどのような末路を辿るのか、目の当たりにしてきた”という国としての歴史的背景も強いようだ。

今作は、親がナチスという複雑な境遇(脚本のハーク・ボーム自身の経験とのこと)の中で、どのように人生を見つけていくかをさらっと描いている。これがドイツでバイエルン映画賞受賞、国内で大ヒットをしたという話を聞いて、上記のエピソードを思い出した。
ビジュに反してグロシーン多めだから要注意。

子どもが真っ直ぐに母親を愛し過ぎていて泣いた。
虐待児の大多数は、虐待を受けてもなお親のことが好きだと言う。
「無条件の愛情」というのは、親から子ではなく、子から親への愛情を表す言葉なのかもしれない。

第二次世界大戦下という状況にありながら、少年はかなりの長期間に渡り心理的虐待を受けている様子がうかがえる。また、幼い兄弟もいるため、ヤングケアラーとして母親や他の家族を支えている姿も見受けられる。

戦争というものは、戦時中だけが戦いではなく、さまざまな苦境に置かれた人の心身が長期に渡って蝕まれていくものである。新たな憎しみを生み心を病んでいく。そうして新たな苦境が生み出されてしまう。

とりわけ、弟の「だっておなかがすいたんだもん!」というセリフには胸を痛めたが、観客からは笑いが起こった。
中学国語科の教材には、『おとなになれなかった弟たちに…』というものがあるのだが、人々は忘れてしまったのだろうか。ぜひ調べて思い出して欲しい。


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《あにか先生のオススメ!関連映画》

・『グッバイ、レーニン!』 (2004)
 1989年ベルリンの壁崩壊直前の
 東ベルリン。東ドイツへの強い
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 反体制デモへ参加しているのを目撃し
 ショックで心臓発作を起こしてしまう。
 昏睡状態にある中、ベルリンの壁は崩壊し、
 東西ドイツは統一。危険な状態にある母に
 再びショックを与えまいと、主人公たちは
 隠蔽を企てる。


 ・『ぼくたちの哲学教室』 (2023)
 紛争により「平和の壁」が今もなお
 存在するベルファストで哲学対話を
 教育として実践する男子小学校を
 追ったドキュメンタリー。不安定な
 地域で非行に走る青年が後をたたないが
 校長はなんとか連鎖を止めようと、
 子どもたち一人一人と向き合っていく。

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