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初体験/リッジモント・ハイのBaadのレビュー・感想・評価

3.4
フィービー・ケイツを全く知らないことと、若い頃のショーン・ペンが出ている、ということ、そして何よりも脚本がキャメロン・クロウというのに釣られて見ました。

実録物ということですが、ドキュメンタリーのワイズマンの『高校』があるというところで、それを超えてはいない、まあ、凡庸な出来。何がダメって、「初体験」を中心に据えたことでもっと豊かなになったであろう作品の可能性を狭めてしまった。

キャメロン・クロウ脚本ということでは、この映画の脚本自体は今見ると特に目新しさもないのだけれど、彼がこの後監督した『セイ・エニシング』や『あの頃、ペニーレインと』は今でも傑作と言えるので、この映画に関わったことは大きかったのだろうと思った。

高校生のセックス・シーン、女優自体が特にスタイルいいというわけでもないのに、わざわざストレートに見せるのって時代の産物なんだろうと思いました。

あと仲良し女子高生グループの卒業後の交際状況(特にフィービーの方)を見ると、当時はそれしか選択肢なかったの?と強く思いました。

地道な田舎の高校生のお話でしたが、家にプールのある家の子のヒエラルキーがアルバイトの職種で決まるようであるのが一番興味を惹かれました。これ、アメリカというよりある地域の特徴なんだろうと思った。

全体的に時代と地域の制約を強く感じる作品でしたが、ある面興味深かったです。監督が女性ということは、細かいところでのリアリティーや地道さを生かすことにはなったかもだけれど、それで面白くは多分なっていない。ファッションに強い関心があるらしい資質は、後のジェーン・オースティンの「エマ」を下敷きにした『クルーレス』に活きることになりますが、あちらは結構挑んでる作品です(ヒロインはお金持ちの娘だが、一種のホーム・ケアラー)。

一人だけ孤立してショーン・ペンがトップ・クレジットなんですが、彼の演技と先生とのエピソードがやはり際立っていました。(このエピソードも『クルーレス』に継承されています。)

いくらスタッフが良くても、時代的にこういう話にしないと世に出なかったのかな、と強く感じさせる作品でした。

(2021/9/4記 修正済)
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