ギルド

プレシャスのギルドのレビュー・感想・評価

プレシャス(2009年製作の映画)
3.9
【学びは身を守れる】
様々な差別・罵詈雑言を受けた女子高生が代替学校へ行って成長するヒューマンドラマ映画。

去年くらいに観た「はちどり」と構図は似ているけど、こちらの方が観てて色々な意味でグロテスクな映画でした…近親相姦や母親の暴言にいじめと観てていたたまれないシーンがとにかく多い。

全編通じて、人種差別・LGBT・職業差別など社会情勢を捉えた作品ですが、この映画は「劣等感」/「穿った荒んだパラダイム」と対峙して様々な人の支えで克服するサクセスストーリーでそこが良かったです。
印象的なのは暴力を振るわれたりする時に想起するプレシャスの「夢」で、この映画では現実の荒んだ「影」と夢の明るい「光」を使ってプレシャスが抱えるコンプレックスを表現する所が良かったです。
より社会情勢を掘り下げるためのハンドカメラでのドキュメンタリータッチなカメラワークもより引き立てていたと思います。

この映画はプレシャス親子の迫真たる演技も凄いけど、レイン先生のどこか人間味ある描写やプレシャスを助ける時の必死さ・事実を受け止めた時の重みも見応えがありました!
そんなレイン先生のやり取りを通じて、「学ぶ」行為が将来の為だけでなく自分自身を守れる…とか「愛情の温かさ」を知るカタルシスも見どころで暗→明へ進む「温もり」の余韻を味わえる良作でした。
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