こたつむり

ナイト ミュージアムのこたつむりのレビュー・感想・評価

ナイト ミュージアム(2006年製作の映画)
3.7
♪ 見えない自由がほしくて
  見えない銃を撃ちまくる
  本当の声を聞かせておくれよ

子供と一緒に鑑賞できる作品は貴重です。
その前段に“安心して”という文言が付けば更に貴重です。何しろ“性”の取り扱いはデリケートですからね。今も昔も“ベッドシーン”は「親と観ると気まずい場面」第一位なのです。

そのうえでワクワクできるなら言うことなし。
想像力を刺激して新しい世界の扉を開く…なんて確実にプライスレス。文部科学省大臣推薦の表記をしたいくらいです(実際にあったら萎えますけど)。

そして、本作はその条件を満たしていました。
お色気は皆無ですし、歴史博物館を舞台にした事で歴史に触れるきっかけにもなるのです。

これは“闇”を排除せずに肯定したからできた話。夜の学校とか、夜の動物園とか、普段とは違う姿を見せてくれる…そのギャップが好奇心をくすぐるのです。

逆に言えば、猥雑さを肯定しているわけで。
表現はされなくても、その姿勢が滲むから作品に血が通うのです。この辺りはクリス・コロンバスが得意とするところですね。クレジットに彼の名前があるだけで安心感が違います。

特に良かったのが主人公はダメなヤツ…と思わせておきながら、実は“有能”であること。この“さりげない”肯定が素敵です。あと、オーウェン・ウィルソンが出演していたのも微妙にツボでした。彼が脇にいるだけで物語がギュッと締まります。

まあ、そんなわけで。
娯楽と教養のバランスが絶妙な作品。
映画の感想文コンクール小学生の部なんてものがあれば、その題材としてもピッタリだと思います。

最後に余談として。
舞台が夜の博物館…と伺って最初に連想したのが『魔少年ビーティー』。それは「夜のデパートに忍び込んで化石を盗む」というエピソードがあるからなんですが、小学生の頃に読んでドキドキハラハラしたことを思い出したのです。警備員の《西湖》が怖いんですよね(誰得の情報なのだろう…)。
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