shibamike

高校生ブルースのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

高校生ブルース(1970年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ガーエーウルフ「高っ校生ーアークショーン!」
(爆音ギター:グギャギャギャギャーン!ズジャーーーン!)
ガーエーウルフ「ダイナマイトで授業をふっとばせー!高校生ー!高っ校生!」



私、北原ヨシ子。15才。
クラスの男子達は私のことを「ミス百合ヶ丘高校だ!」なんて学校一の美人だって囃たてるけど、困っちゃうんだなぁ、もう!
クラスのすけべ男子グループは、体育の時間になると、体育を休んでいる女子を目ざとくチェックして、A4ノートに全女子生徒の生理日を記入して、「××の安全日はいついつだ。」なんて、推測して喜んでるのよ、男子のバカ!

実は、私、大好きなボーイフレンドがいます。同じクラスの加藤ノボル君!カッコよくて優等生でピッタリ横分けのムッツリすけべ。私のことを誰よりも愛してくれるから、私も彼が大好き。

私、彼と付き合うまで、あの…その…セッ…セッ…セ、セッ、セックスしたことなかったんです!(きゃっ!言っちゃった!私のバカ!おまんこナス!)
でも、ある日ついにノボル君と体育倉庫で結ばれちゃったんです!

愛の営みを終えて、体育マットに横たわり、呆然と私はノボル君に尋ねたの。
私「みんなこういうことするの?」
ノボル君「うん。愛し合うもの世界中どこでもみんなしていることさ。みんな悦びを分かち合うんだ。」
私「私、悦びなんてなかったわ。」
ノボル君「女には最初からは無理なんだよ(笑)」
ノボル君の意地悪!イーっだ!


私達、周囲には内緒でその後もどんどん仲良くなって、人知れず深い仲になったわ。私、とっても幸せでした。でも、突然恐ろしい事態になったの。

私…妊娠しちゃったんです!
相手は勿論ノボル君。私、驚いてしまって、ノボル君に相談しました。
私「どうしよう…生理がもう2ヶ月もこないの。私、妊娠しちゃったみたい…。赤ちゃんができちゃうなんて…。」
ノボル「そ、そんなこと急に言われても。君、いくらなんでも無知過ぎるよ。」
私「"1回や2回なら大丈夫"って言ったのはノボル君じゃない!」

妊娠を告げた途端、ノボル君の私に対する態度が変わってしまいました。とにかく「堕ろそう。」と言ってきます。私、本当に困りました。誰にも相談できず、私のお腹の中では毎日新しい命が成長していっているのに、私は男の人への不信感、セックスへの嫌悪感、とにかく不安です。

ノボル君は中絶費用を捻出するために早朝に牛乳配達のアルバイト始めたの。バッカみたい。私、もうどうでもよくなっちゃったんだ。
クラスの不良女子グループと仲良くなってゴーゴークラブに行って、夜通し踊ったりもするようになったわ。けばけばしいお化粧、ウィッグ、ミニスカート、サイケデリックミュージック、激しいダンス、きらめくミラーボール、私自分が自分じゃなくなったみたいで、ぶっとんじゃったんだなぁ。

でも、私やっぱりノボル君が好き。彼は私を愛したんじゃなくて、私の身体が欲しかっただけなのかも知れない。愛って何なの?どうして男と女はセックスするの?汚らわしいわ!
うちのお母さんもお父さんが死んでから、新しい恋人ができて、私の知らない所でやっぱり汚らわしい獣みたいなことしていたわ。私、本当に不潔だと思うの。
私、「交尾」という写真集を家で見ました。カエル、鳥、チーター、カブトムシ、ライオン、ありとあらゆる生物の交尾シーンが両開き一杯に写っているの。
私、その見開きページ毎にバラの花びらを1枚1枚落としていったわ。不潔さを少しでも浄化しようと思って。

それからしばらくして、ノボル君が私にお金を渡してきました。
ノボル君「産婦人科の先生が3ヶ月以内なら中絶は危険が少ないってさ!ほら、これお金、俺、アルバイトして貯めたんだ。」
私「…人殺し。」
ノボル君「(絶句)」
私「ノボル君は人を殺すってことがわかってるの?」

その後日、理科の実験の授業で硫酸という劇薬を扱いました。私、こっそり硫酸ビンを1つ盗んでうちに持って帰りました。理科の先生が硫酸ビンの紛失に気付いて、クラスで騒ぎになったけど、結局私が犯人だってバレなかったわ。でも、ノボル君だけは私が盗んだということに気付いたみたい。

あくる日に私、ノボル君を体育倉庫に呼び出したの。
怯える私がノボル君に求められたあの日と違って、今度は私がノボル君を怯えさせたわ。彼、硫酸で殺されると勘違いしてたみたい(笑)
そんなちんけなことしやしないわ、私。
私達、共犯になるのよ。そのために呼んだの。
私「(体育マットに横たわり)ノボル君、私のお腹を思い切り踏みつけて。」
ノボル君「(驚愕の表情)」
私「何を考えてるの。あなたが私のお腹を踏みつければ、赤ん坊を産まずに済むわ。さぁ!踏みなさいよ!」
ノボル君「う、う、うわぁあああ!(お腹を何度も踏みつける)」
私「あぁぁあああ!…殺人よ。私達、殺人の共犯よ。」
ノボル君「(呆然とし、急いで逃げ出す)」

結局、私本当に流産して、お母さんにも全部ばれたの。これでもう何もかもすべておしまい。

盗んだ硫酸はって?
あれは私の部屋で使ったの。部屋に飾ってあった私の油絵の自画像。あれに思い切り硫酸をかけて私をぐちゃぐちゃにしたの。

すべて終わって、また今まで通りの高校生活。私、すべてが終わったの。でも、また始まるの。



ガーエーウルフ「俺には俺のアクションが欲しいだっけー!高校生ー!高っ校生!」


柴三毛 心の一句
「清潔と 気にしてみても みな獣」
(季語:獣→怖い→リストラ→貧乏→(懐が)寒い→冬)
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