綾

ゴッドファーザーの綾のレビュー・感想・評価

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)
5.0
ようやく、ついに、観た。と言うほど、長い間敬遠していた作品です。個人的な《いずれ観ようと思っていた名作に触れていこうキャンペーン》第2弾と称して、“ゴッドファーザー観ずして映画を語るな”と言う父と一緒に。いやぁ…物凄かった。

まず、敬遠していた理由の一つ、“長尺”が驚くほどに気にならなかった。昨日観た『ディア・ハンター』でも…というかあらゆる名作で思うけれど、面白いものはまじで時間の進みが気にならない。今作も、ふとした拍子に時間を見て驚いた。え?もう50分経った?本気?って(笑)
それほど、一つ一つの描写に無駄がなく、無駄に思えるようなシーンにも、映画としての味わい深さが詰まってた。“見入る”とはこのことか、と思う。

次に、なんて「男の映画」なんだろう…と。性差を引き合いに出す言い方は好きではないけれど、なんやろう、本当に上手く言えないのやけど、映画の隅々から「男の生き様」を感じました。マフィアの組織と家庭、どちらも Family なんだけど、そこには明確な境界があって。妻や娘は、組織としての“ファミリー”では完全に蚊帳の外なんだなと。そして、感情や人情を割り切ったその先の強さが求められる世界なんだなと。“一度だけの質問だぞ”という台詞とその答え、ケイの目前で閉められる扉、その時のマイケルの表情、ケイの表情。すごいな…これが男の世界か…と圧倒されました。

そして、私のような青二才がこの映画の良さを分かったつもりになることは烏滸がましいのだと感じさせられたのが、何よりも正直なところ。この映画を何十回も観てきた父には、私より何十年も長く生きて、何十倍何百倍もの人生経験を積んだ父には、この映画はどういう風に映っているのだろう。鑑賞後、ああだこうだと父と話し合うのも含めて本当に楽しかった。

また、必ず観たい。
星満点は、“素晴らしかった!!”や“大好き!愛してる!”というよりもむしろ、映画へのありったけの敬意を込めて。まだまだ若輩者だと改めて痛感させられました…。
綾