ATSUYA

ロッキーのATSUYAのレビュー・感想・評価

ロッキー(1976年製作の映画)
5.0
監督 : ジョン・G・アヴィルドセン
主演 : シルベスター・スタローン
共演 : タリア・シャイア
バード・ヤング 他

1976年のアメリカ映画。第49回アカデミー賞作品賞を受賞。

【感想】
"人生、するか・しないかというその分かれ道で、「する」のほうを選んだ勇気ある人々の物語"(映画解説者荻昌弘の言葉)

本作の中でロッキーはアポロから貰ったチャンスを逃すことなく、努力をしてリングに最後まで立ち続けた。これはまさに楽をすることだけを考えて、目の前にあるチャンスをみすみす逃してしまう現代の人々へのアンチテーゼになっていると思う。力強さ、優しさを兼ね備え、かつ高い自尊心を持っているロッキーの生き方を人生の教訓にしたい。

本作の主人公はロッキーだけではない。エイドリアンだってポーリーだってミッキーだってそう。それぞれがそれぞれのリングでもがきながら戦っている。月曜ロードショーの荻昌弘先生のお言葉を借りれば、彼ら全員は巡ってきたチャンスで「やる」を選び、自分の人生を変えようと必死に前へ進もうとしている。ロッキーはアポロに負けてしまうが、ロッキー・エイドリアン・ポーリー・ミッキーは人生における真の勝者ではないだろうか。

モハメド・アリ対チャク・ウェプナーの試合を元に脚本をたった3日間で書き上げたシルヴェスター・スタローン。それまでのうまくいっていなかった人生を変えるため、制作会社に何度も頼み込んで自らが主演する権利を勝ち取り、素晴らしい演技をし、素晴らしい作品を作りあげ 、アカデミー賞を受賞するほどになった。

まさにロッキーはスタローンの生き写しで、スタローンもロッキー同様、自分の存在価値を世間に示すことができた。生まれつきの言語障害と顔面麻痺の影響で中々役にありつけず、ポルノ映画にまで出演したが、それでも彼は諦めず、ずっと自分を信じ続けた。こういった彼の姿には本当に勇気を貰える。

ストーリーは単調だが、ただのスポーツ映画ではなく、どちらかというと人間ドラマに焦点を置いている。もちろんファイトシーンの興奮度は凄まじいが、それまでのエイドリアンとの初デートやポーリーやミッキーとのやりとり、序盤のロッキーの孤独が感じられる描き方など、ファイトシーンにたどり着くまでの過程が非常に繊細に描かれている。ロッキーのテーマ♫Gonna Fly Now♫をバックに行われるトレーニングシーンや超有名な「エイドリアン〜〜」のシーンなど見所も非常に多い。
まさに映画史に燦然と残る大傑作だ。

大好きな作品なので熱く語ってしまいました。2018年の見納めにはピッタリの作品だと思うので、今年はこれで終わりにします。皆さま良いお年を。
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