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父 パードレ・パドローネの一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

父 パードレ・パドローネ(1977年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

第30回カンヌ国際映画祭パルムドール。
タヴィアーニ兄弟監督作。

厳格な父の下で育てられた息子が学問を身につけ、やがて父から自立していく姿を描いたドラマ。

肉体的な罰も辞さない父は息子にとって絶対的存在だ。逆らうことなど許されない。抑圧的な親に育てられた子どもは、大人になっても自己否定し続けてしまう傾向があると聞いたことがある。しかし、本作では、力では到底勝てない父に対し、息子は学問を学んでいくことで無学の父を精神的に克服するのだ。
一家は代々羊飼いだ。もし、息子が意を決して学を身につけなかったら、おそらく息子も父のような大人になっていただろうし、そのまま羊飼いとして生涯を終えていたかもしれない。

印象的なシーンが終盤にあった。
大人になった息子の頭を父は撫でようとするが、途中で動きを制止し、逆に今度は殴ろうとするのだ。父にも葛藤があったのだろう。我が子に対する本能的な愛情と、自身が固執し、息子に押し付け続けてきた厳格な父親像を天秤に掛けたゆえの行動だった。
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