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フロム・ヘルのよーだ育休準備中のレビュー・感想・評価

フロム・ヘル(2001年製作の映画)
3.0
1888年。ロンドン貧困区の路上で《喉を裂かれ、臓器を摘出される》という異様な娼婦の遺体が相次いで発見される。事件を追う刑事は、やがて英国王室と秘密結社という巨大な闇の輪郭に迫る。


◆Jack the Ripper:切り裂きジャック

1888年。ロンドン中を震撼させた、史実上の未解決連続殺人事件がベースとなっている。

●夜霧に紛れて娼婦が殺される
●遺体を切り裂かれ、臓器が取られる
●《From Hell》という挑戦的な手紙
●摘出された臓器が送り付けられる
●壁に書かれたメッセージ

ショッキングな史実も細かく再現されていて、フィクション作品としてのアレンジの入れ方も上手い。


◆未解決部分をフィクションで補完

迷宮入りしてしまった為、事件の全容は未だ解明されていない。当時被疑者はユダヤ人から精肉業者、外科医、果ては王室関係者まで数多の推測がなされていた。

そんな未だ解明されていない事を逆手に、辻褄合わせの様な補完が創作物としての完成度を高めている。

《犯行に及んだのは誰だったのか》
《遺体の損傷度に差があるのは何故か》

このあたりの構成は凄く上手かったと思う。
当時の英国王室のスキャンダル(王子の男色趣味)をアレンジしてくっつけた発想が素晴らしい!

《世間が取り沙汰する中、なぜ娼婦達は易々と殺されてしまったのか》

実在の捜査上の疑問点に対して(当時は【女性(女装)犯人説】が浮上した様だが)《当時は高級だった葡萄を餌に釣られた》という解を出しているのもお洒落。


◆ダークな雰囲気とミステリー

事件を追うAbberline(Johnny Depp)を主人公に据える事で、切り裂きジャック事件に介入する。アヘンでトリップしたり、予見者の様な異能が絡んでくる事で、ダークでミステリアスな雰囲気が色濃くなっている。

《精神病院》《秘密結社》《公安当局》といった胡散臭いワードがズラーっと並ぶのも、薄気味悪さの演出には欠かせない。

ロマンスパートの唐突さは否めないものの、《特に惨たらしい最後の遺体》という事実と結びつけて、悲恋の物語として締め括られたラストには拍手。

副官のGodley(Robbie Coltrane)が本当にいいキャラ。同じような《人情味溢れる強面》として、ハリポタのハグリッド役もハマってたけど個人的には今作の方が好み。


*雑記*
Filmarksを始めて一周年。
この映画を観ながら三十路になりました。
いつも仲良くしてくださるフォロワーの皆様、本当にありがとうございます。
今年も沢山映画を観るぞー!