Fitzcarraldo

鴛鴦歌合戦のFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

鴛鴦歌合戦(1939年製作の映画)
4.0
〚日本映画の父〛のマキノ省三の長男であり、〚早撮りの名人〛の異名をもつマキノ雅弘の脚本・監督によるオペレッタ時代劇。

分業制だった音楽業界において、何から何まで全てを熟す総合プロデューサーの先駆として多大な影響を残した服部良一の門下生である大久保徳二郎の作曲・編曲・指揮。大久保が専属で所属していたテイチクレコードで、共にヒットメイカートリオの一翼を担った島田磬也が作詞とオペレッタ構成、歌手はディック・ミネ。
この音楽が何よりも素晴らしい!スウィングしながら登場する冒頭場面から完全にやられてしまう。

服部良一の妹であり宝塚歌劇団出身の服部富子が、おとみとして出演しているのも何だか嬉しくなる。

マキノ雅弘と小学校時代の同級生であり、後に数々の偉業を残す宮川一夫が撮影を担当するのだが…同い年にしてすでに監督歴13年、本作が113本目の大ベテランのマキノと違い、4年前に撮影技師に昇格したばかりの宮川は本作でまだ20本目であった。日本映画の父を父に持つものと持たざるものの差か…

この時の劣等感があったから宮川の後の偉業に繋がったのか…それは深読みしすぎか…


○広場
市川春代演じるお春と、片岡千恵蔵演じる浅井禮三郎。

お春
「わたしがいくら稼いだって、お父さんが怪しげな骨董品にみんなつぎ込んじゃうんですもの」

浅井
「いいじゃないか!人間だれだってひとつくらいの道楽あるもんだぜ!…そのうちに、たいした掘り出しもんするかもしんないよ!」

お春
「あたしそんな夢みたいなこと大ッ嫌い。わたしもうこんな傘張りなんかイヤんなってしまったのよ!だって世の中には、この傘さして遊び暮らしている人だっているんですもの」

浅井
「とかく世の中ってこうしたもんらしいよ…
とかく浮世はままならぬ。日傘さす人つくる人ってね…」
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