半兵衛

ル・ミリオンの半兵衛のレビュー・感想・評価

ル・ミリオン(1931年製作の映画)
4.3
当選した宝くじをめぐってのドタバタを、歌を交えてコミカルにかつエレガントに描いたフランス流の演出がきまっていて最後まで面白く鑑賞することが出来た。

主人公の部屋に借金や溜まった支払いを取り立てにきた人たちが、彼が宝くじが当たったと知るや部屋で勝手にパーティーをおこないどんどん盛況になっていくのが笑える。しかもその間主人公たちは宝くじが入った服を必死になって探しているのでその落差にまた笑えてくる。

主人公やヒロインではなく、登場人物みんなが歌うのが他のミュージカルにはないバカ騒ぎ感があって楽しい。服を奪った泥棒を追い詰めるためみんなが歌う場面なんてアホらしくて最高。その一方で彼女が働いているオペラ座に紛れ込んだ主人公が、彼女と舞台裏でつかの間の逢瀬を楽しんでいる二人の声がと舞台で歌う歌手たちの声とシンクロしてまるで口パクミュージカルのようになっていくという粋な場面も。

ラストは多幸感が半端なくて心が晴れやかに。

ちなみに冒頭にいきなりオチを持ってくるという大胆な構成は『生きる』を彷彿とさせた。
半兵衛

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