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真夜中の刑事/PYTHON357のslowのレビュー・感想・評価

真夜中の刑事/PYTHON357(1976年製作の映画)
4.6
1人の女性の出現により、静かに狂い出す男の歯車。

あなたは、このジャケットを見て何を期待するだろうか。ダンディズム溢れる刑事の重厚なフィルム・ノワール?ハードボイルドまっしぐらからの車爆破危機一髪ムービー?いや、どれも間違いではないのだけれど。アラン・コルノーは全く意表を突いてくる。

蓋を開けてみれば、デッドコースタームービーだった。とは言え、もっちゃりとスピード感なく駆け抜けていくこのアトラクションは、ノット爽快感ながら妙に笑える泥んこレースのようなもの。もうね、詰めの甘さが凄いし、みんなど真面目フェイス過ぎ。お願いします、これコメディだと言ってください監督と思いながらの鑑賞。
男にとって、拳銃のメンテナンスも食事を作ることも、毎日欠かさず続けていること。言わばルーティーンなのだろう。そういう人物のディテールにこだわる感じはメルヴィルなんかと似ているかもしれない。しかし、このような映画はあまり記憶になく、イヴ・モンタンが主演であることからも予想できなかった。
思わず、その犠牲に対して得られるもの見誤り過ぎ注意報を発令したくなる。そんな映画だった。
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