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吸血鬼のchanmoreauのレビュー・感想・評価

吸血鬼(1967年製作の映画)
3.8
雨降りの連休合間の深夜に配信で初見
なんとも可愛い吸血鬼コメディの佳作

本作の存在は以前から気になってて
「オールドボーイ」の頃に取材で
パクチャヌク監督が大好きと言ってた事
その後彼は「乾き」を撮るけど
本作はポランスキー自身が主演してて
吸血鬼の謎を博士の助手として
解き明かすべく雪景色の橇から始まり
そしてラストも同じようなカットで終わる

「水の中のナイフ」「反撥」「袋小路」を経て
聖林で「ローズマリーの赤ちゃん」の前に
英国MGMによる製作
ポランスキーの作品群の中でも何とも異色
伝統芸な吸血鬼モノのパロディで
冒頭のMGMロゴはライオンが吠えた後
吸血鬼のイラストに変わるとこから始まり
ギャグもお色気も全編たっぷり😅
彼の他作品のような完成度はないので
この手がダメな人には低評価だろう
でも俺にはこのデタラメな感じが愛おしい

ポランスキーらしさはしっかりあって
パンフォーカスを駆使した画面は
被写界深度がクッキリで絵画的で美しい
画面の奥までしっかり照明炊いてて
屋内の豪華なセットや衣装
屋内の雪景色と城の造りなど
いかにもゴシックロマンって感じだ
オーソンウェルズ作品のような画の中で
ドタバタが繰り広げられるのが楽しい😀
そう言えば橇が活躍するっていう点では
あの「市民ケーン」にも通じるよなー

特筆すべきはヒロインのシャロンテートで
この後2人は結婚して聖林で悲しい事件に
遭う事になるわけだけど
ポランスキーの高い鼻とシャロンの横顔を
照らす照明の美しさに魅かれてしまう
終幕は2人の未来を暗示するかのようだ

あまり映画を観慣れてない方には
この魅力は伝わりにくいかもしれないけど
ホラーとコメディが紙一重だと分かり
夜を徘徊してたまに血を吸いたくなる
同志の方には一見をお勧めしたい💋
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