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乱暴者のpikaのレビュー・感想・評価

乱暴者(1952年製作の映画)
4.0
すげーシンプルでストレートな話なのにブニュエルらしいユーモアに溢れていて、おじいちゃんは愛くるしいし鶏や肉などのアイコンの使い方に演出の魅力が迸ってる。

文章にすればドラマとしてベタな話であるのにどれもこれも暗喩的な深みに満ち満ちていて、シンプルだからこそ普遍的で何がしかに投影できてしまうような掘り下げんばかりの味わいがある。
なんだこいつ、みたいな主人公にジワジワと滲み入るように惹かれてしまい終いには魅力にやられてしまう徹底した描写力。
主人公が石原裕次郎に見えて仕方がないんだが石原裕次郎の映画は見たことがない。

「あなたに出会ったから変わった」とか「善悪は意図に反映しない」など、行動の是非か人間臭い魅力なのかの深さから、愛という表裏一体な狂気まで、ドロドロな恋愛劇をキナ臭い展開でライトに調理してみせるからこそジワジワと本質という出汁が滲み出る傑作。
ブニュエル、マジハンパねぇーっす。内容に反してめちゃクール。
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