みかんぼうや

雨に唄えばのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

雨に唄えば(1952年製作の映画)
3.7
【なぜか避けてきた超有名作を食らうVol.3】
「スタンド・バイ・ミー」、「E.T.」に次いで選んだのは本作。「時計仕掛けのオレンジ」が大好きな私は、“雨に唄えば”がかかると真っ先に頭に浮かぶのは、あの“アレックスの映画史に残る残虐シーン”という脳みそショート状態。本家本元を観て、ようやく本来のなんとも美しく素敵な“雨に唄えば”に酔いしれました。

物悲しさや陰鬱な雰囲気を作る代表格のような“雨”を、ここまで明るく楽しいシーンに感じたのは初めてかも、と思わせられる圧倒的エンタメ性。「心がウキウキする」という表現はこの映画のためにあるのではないか、というくらい観ていて気持ちの良い元気になる世界観。観終わった後に、ディズニーランドに行ったような感覚になる作品でした(この作品の歌や踊りが生み出す感覚は、ディズニーランドも含む後のあらゆるエンターテインメントに少なからず影響を与えているのでしょうね)。

主役のジーン・ケリーはどこか優雅な歌声も含めてもちろん良いが、個人的にはコズモを演じたドナルド・オコナーに釘付け。キレッキレのダンスとコミカルな動きが凄い!彼の抜群の身体能力が、本作をただ美しいミュージカルとしてではない、コメディ的魅力を併せ持つ作品に昇華させているように感じた。

つい数年前まで「なんでこんな日常シーンに急に歌と踊りが入ってくるの!?」と、超がつくほどミュージカル映画に苦手意識を持っていた私も、「シェルブールの雨傘」でその魅力を感じ始め、「レ・ミゼラブル」「グレイテスト・ショーマン」を経て、完全に「歌と踊りのシーンはまだか?」とミュージカルの醍醐味を自然と欲する身体になっていました(物語性がより際立つ意味では個人的には本作よりも「レ・ミゼラブル」や「グレイテスト・ショーマン」のほうが好きですが)。

劇場公開当時、興味本位で劇場に観に行って全く面白さを感じなかった「ラ・ラ・ランド」も今観たらきっと楽しめるだろうか!?
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