みかんぼうや

見知らぬ乗客のみかんぼうやのレビュー・感想・評価

見知らぬ乗客(1951年製作の映画)
3.8
これぞ“疫病神中の疫病神”。偶然電車の中で見知らぬ男と出会ってしまったばっかりに、その男からお互いの憎しみを持つ相手を殺人しようという“交換殺人”を持ち掛けられ、おまけに約束もしていないのにその男が勝手に主人公が憎んでいた相手を殺し、主人公を共犯扱いにしようとするとんでもない話。

主人公が自分は無実であることを証明しようとするも、主人公の行くあらゆるところに現れ、主人公を付け回し、主人公の人脈に入り込もうとする、この見知らぬ男のストーカー感と発想が完全にサイコパスです。

正直、リアリティに欠ける設定なのでツッコミどころは満載ですが、そこは圧倒的エンタメ重視のヒッチコックサスペンスということでご愛嬌。単純な設定ながら、脚本の緻密さでストーリーに引き込まれ、それに加えてラストのメリーゴーランドシーンでは、「撮影技法も限られCGが無い時代にどうやって撮ったのだろう?」と撮影の裏側が気になるほどのなかなかのアクションシーンも見られ(今だったら簡単に作れそうですが)、エンタメとして総じて面白かったです。

ヒッチコック作品の未見作品は、かなり久しぶりに観ましたが、単純で分かりやすいのに、しっかりと一筋縄ではいかない捻りも利いていて、やはり面白い。彼の有名どころの名作は一通り観た感がありましたが、まだまだ面白い作品がありそうです。
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