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マイ・マザーのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

マイ・マザー(2009年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

仲の悪い母と息子を描いた作品。

マイペースな母親と反抗期の息子。
顔を合わせれば喧嘩ばかりする、2人の関係が面白かったです。

母親の人の話を聴かない感じとか、下品な振る舞いにイラっとしたりとか、男性なら結構共感する部分が多いんじゃないですかね?
個人的には「あるあるw」と共感しまくりでした。

ただ、主人公と違って、私はあそこまで感情を露にぶつかったりはしません。
主人公は詩的な才能があるせいか、母親への文句が一度始まると、ま~止まらない。笑
「そこまで言うか?」ってくらいに母親を罵倒するので、思わず失笑しちゃいましたよ。
あそこまで感情を出せるのは逆に仲が良いな…という気もするし、後半にある母親の罵倒長台詞を見ると、似た者同士なんだな…なんて事も思いましたね。

さて、この親子は一体どうして、こんなに仲がこじれてしまったのか?
私としては、息子を子供扱いする母親に問題がある様に感じました。
息子の話を忘れたり、軽んじたり…大人として扱ってもらいたい息子からすれば苛立つのも無理ありません。
母親からすれば、どれだけ大きくなっても子供は子供だし、いつまでも子供でいて欲しいという願望もあるのでしょう。
ただ、本作の母親はちょっと度が越えていて、息子を殴ったり、鍵を忘れた息子を嘲笑する始末。

この母ハラスメント…いや、母マウンティングは笑えるシーンである一方、息子からしたら、こんなにも自尊心を傷つけられる事はないわけですよ。
当然ながら信頼関係も歪んでいくわけで、母親と話さなくなるし、相談もしなくなる…あの関係は母親の自業自得でもあるのかなと。
世のお母様方には、年頃の息子を子供扱いして支配するのは止めて欲しいなと思います。

映画のラスト、現れた母親は現実なのか?幻なのか?
親子は和解したのか?それとも決別したのか?
まぁ、最終的に子供を寄宿学校に放り投げる母親が成長したり、改心するとは思えないんですけどね。

どちらにせよ、この話を監督の一作目に持ってきたグザヴィエ・ドランにとって、母親との関係は本当に切実で深い傷だったのでしょう。
多くの映画監督が自らの親子関係を映画で昇華する様に、ドラン監督にとっても自己セラピー的な意味合いがあったのかもしれません。

親子の喧嘩漫才コメディーとしても面白かったし、親子関係を考察する映画としても興味深い作品でした。
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