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ドラキュラのGreenTのレビュー・感想・評価

ドラキュラ(1992年製作の映画)
2.0
ドラキュラ伯爵といえば、黒いマントに短い黒髪ってイメージがあったのですけど、この映画では意図的に今までのイメージをぶち壊すような設定にしたそうで、中世の騎士、白髪をお団子に結っている老人、ゆるフワ・ワンレンの紳士、ウルフマン、コウモリ男と、何変幻するの?ってくらい色んな顔を見せてくれます。

そのトランスフォーメーションに色付けをしたのが、コスチューム・デザインを担当した日本人の石岡瑛子さんって方で、アカデミー賞も獲ったそうですね。オープニングでドラキュラが着ている赤い甲冑がすげーカッコいいなって思ってたんですが、DVDのインタビューでこの甲冑はアルマジロをモチーフにして作ったと言っていました。

制作費の関係でロケはダメ!全部LAで作ってって言われたらしいので、ものすごい豪奢なセットなのですが、フランシス・フォード・コッポラ監督はCGを使うことを拒否したせいなのか、「セットだ!」ってわかる感じで、ディズニー・ランドのホーンテッド・マンション・ツアーを2時間やったような気分になりました。

この脚本に最初に目をつけたのはウィノナ・ライダーなんですって。恐る恐るコッポラ監督に「読んでみてください」って渡したら、元々ドラキュラが好きだった監督は結構乗り気になっちゃったと。

また、アンソニー・ホプキンス、ゲイリー・オールドマン、キアヌ・リーブス、リチャード E. グラントは、「ウィノナ・ライダーのドリームキャスト」なんだそうです。

この映画でキアヌ・リーブスはけちょんけちょんに批判され、ウィキペディアでも「キアヌ・リーブスに対する批判」て項目があるくらいで、アンソニー・ホプキンスやゲイリー・オールドマンなどと肩を並べるにはちょっと〜、とか、ブリティッシュ・イングリッシュがへったくそとか、コッポラ監督も「キアヌを配役したのは、若い女の子を集客したかっただけ」と後悔しているとか、散々なことを言われています。

キアヌ演じるジョナサンは、ロンドンの若手弁護士で、ドラキュラ伯爵(ゲイリー・オールドマン)のところで働いていたレンフィールド(トム・ウェイツ)という弁護士が気が狂って精神病院に入れられたため、その後釜としてトランシルバニアのドラキュラのお城に送られるのですが、ジョナサンのフィアンセのミナ(ウィノナ・ライダー)が、川に身を投げたドラキュラの妻の生まれ変わりだったため、まあ〜奥さんは奪われるは、「ドラキュラの3人の花嫁(含モニカ・ベルッチ)」に弄ばれるは、命からがら逃げ出したけど白髪になるわ、なんだか情けない役で、かわいそうになっちゃいました。

iMDbによると、キアヌは「あの頃すごい忙しくて、この映画に捧げるエネルギーが全然残ってなかった」とのちに語っていたそうなのですが、確かに出演作を見ると、1985年から1992年まで、ものすごい数の映画に出てるんですよね〜。

私個人の感想は、ドラキュラ伯爵の既成のイメージをぶっこわ〜す!のは良かったのですけど、あまりに色々なイメージが盛り込まれすぎていて、散漫に感じました。ゲイリー・オールドマンが好きでこの映画観たのですけど、奇抜な衣装の「着せ替え人形」になってしまっていて、あまり魅力を感じませんでした。セットも演技も大袈裟で、映画というよりシアターみたいな堅苦しい古臭い感じがして、ユーモアも皆無だし、感情移入できるキャラクターもいませんでした。

ドラキュラや吸血鬼伝説のような裏話を読んでも「ふーん」としか思わなかったので、私はそもそもそういうものにロマンティシズムを感じない人なのかも。中世のゴシックな雰囲気が好きな人なら、ワクワクの2時間なのかもしれません。
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