ギズモX

インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国のギズモXのレビュー・感想・評価

1.7
みんなご存知、『インディジョーンズ』シリーズ最大の異色作にてスティーブンスピルバーグ最大の問題作。
我らが考古学者インディジョーンズが未知のエイリアンと遭遇する話。

鉛冷蔵庫とか言動がおかしい登場人物とか、見てると「情緒不安定な脚本家が書いたシナリオなのか?」と不安になる駄作。
初見時はマジで困惑した。

しかし、今まで神にまつわる力を追ってきた『インディジョーンズ』シリーズの物語に"エイリアン"をだしてきたこと自体は悪くないと思う。
何故なら第二次世界大戦が終結し、世界を滅ぼしかねない核兵器が台頭した冷静時代当時において、人ならざる者である地球外生命体の存在は、神に等しい力を持つ者として認知されていたからだ。
『2001年宇宙の旅』や『未知との遭遇』『宇宙人東京に現る』での宇宙人の描写がそれ。
"東西に分断された世界を舞台に、アメリカの考古学者とソ連の科学者が、未知の地球外生命体の力をめぐって激しい代理戦争を繰り広げる"
これだけ聞くと凄くワクワクさせられる。

ではなぜここまでストーリーが支離滅裂なものになってしまったのかというと、それはこの映画の中における宇宙人の描写が従来の宇宙人のイメージと異なって映しだされたからだ。

『クリスタルスカルの王国』と聞いてエイリアンを思い浮かべる人がこの地球上に何人いると思う?
確かにエイリアンに古代文明を繋ぎ合わせるオカルトネタは月刊ムーとかにありますよ。
でもそういうエイリアンものというのは基本的にSFなのでありまして、古代の遺跡を探検するアドベンチャーでSFを表現できる訳がないじゃない。
じゃあ当時の人達が思い描いていたエイリアンなSFは何なのかというと、それは"ロズウェル事件"であったり"エリア51"であるわけで、要するに一番重要なネタを一番初めに持ってきてしまった。
これが本作最大のミス。

そしてそのエリア51での描写も非常に雑で、テロップにはネバダ州としか表示されないから博士達はエリア51にいるということが非常にわかり辛く、『失われたアーク』のラストで登場した倉庫が舞台となるのでロシア兵はアークを探しているのだと勘違いしやすい。
また、冷戦対立構造の要である核兵器が爆発するシーンに至っては、あれだけしかストーリーに関わってこないので完全に意味を成していない。
エイリアンの印象も、次元を超越した生命体とか、宇宙と宇宙の狭間とか、余計な設定を加えたせいで従来のものとは異なって映し出されてしまった。

コンセプト自体は良いが見切り発射でことを進めたせいで全てがおかしくなったように思える。
もっと脚本を練れていたら傑作になれたのではないか。
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