【生を歓ぶのが人の本来の姿!】
【苦しい人生はあってはならぬ!】
『きっとうまくいく』と並んでポジティブシンキングの極地に達するインド映画。
大地主の屋敷で働く召使いムトゥのてんやわんやな騒動を描いた大喜劇。
濃すぎるキャラクター、数に物を言わせたアクションとチェイス、熱いラブストーリー、そして豪華絢爛なダンスなどなど、ボリウッドの王道スタイルを世界に示したインド映画の礎的な存在。
ちょっと前に本作をオマージュしたお酒のCMが TVで流れていて、あの時は友達や家族から「ムトゥって何?」と聞かれることが多かったな。
90年代に公開された映画なのでCGや爆発など過激な演出は少なく、今見るとちょっぴり物足りなさを感じるが、マイナスなものを全て吹っ飛ばす痛快な演出のオンパレードが底抜けに楽しい。
そして話の核となる脚本も、人の欲で引き裂かれた家族が愛の力で修復されていくという、冷たい心を温かく溶かす慈愛を強く映し出しており、まるで聖者の教えのように徳が高い。
物語が素晴らしい映画を鑑賞すると、よく自分の生き方を見直してみようかなという気になるが、これは正にそれ。
本作は"どうしたら人を幸せできるか"という人類の問いに対する答えである。
OPの『主は世界にただ一人』は落ち込んでいる時に聴くと本当に励まされる。
「俺もお前も全員、極楽浄土に連れてやる!」という明るさと喜びに満ちた大傑作だ。
【この歓びは永遠、老いも来ない!】