荒野の狼

釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!の荒野の狼のレビュー・感想・評価

4.0
『釣りバカ日誌14 お遍路大パニック!』は、2003年公開の116分の作品。高知に旅行に行く機会があったので、本作が高知ロケと知り鑑賞した。私は「釣りバカ日誌」のシリーズは初見であるが、予備知識なく楽しめる作品。
冒頭で、三國連太郎が人生を見直そうとお遍路を計画、西田敏行・浅田美代子夫妻の家で、土佐にゆかりの詩人・吉井勇の「かくばかり 弱きこころを 癒すべき 薬草なきか 土佐の深山に」を引用しながら、お遍路の思いを語るが、結局は、釣りには絶好の場所ということで、西田を四国旅行に連れ出す。
四国の旅は、第50回よさこい祭りを高知城の近くの沿道で見物する三國が山車に乗って登場する西田に呆気にとられるシーンから始まる。三國の背後に当時の橋本大二郎知事が観光客のひとりとしてカメオ出演。また、三國の背後には遠景にうっすらと高知城が見える。このあと、西田と三国は、四国霊場八十八箇所のうち高知市の五台山にある31番札所の竹林寺(牧野植物園に隣接)に移動(五重塔などが映し出される)。本作では、後半で西田が「よさこい節」を歌うシーンがあるが、この一番の歌詞に登場する「坊さん」は竹林寺の僧。この後、四万十川にかかる勝間沈下橋が登場するが、この橋は有名な佐田沈下橋(今成橋)より、さらに上流にあり、一番近い霊場は39番札所の延光寺だが、本作には延光寺は登場しない。
ここから、西田・三國は、本作のメイン舞台の柏島・足摺岬周辺に移動するが、このあたりは霊場が少なく寺と寺の距離が遠い。引き続き、西田はタクシー運転手の間寛平と海釣りを楽しみ、一方、三國は、足摺岬の展望台から、釣りを海で楽しむ西田・間を双眼鏡でみるシーンとなるが、ここでは足摺岬灯台や国立公園の断崖がみられる。翌日の設定で、西田が高島礼子とその息子と釣りをするシーンが続くが、これは柏島ではなく、竜串海岸で、釣りをしている遠景に、ちらりと「海中天然ミュージアム足摺海底館」がうつり、このシーンでは竜串海岸に独特の奇岩が見られる。一方で、三國は足摺岬にある38番札所の金剛福寺に単独で巡礼するシーンとなるので、三國は前日行った足摺岬に戻ったことになる(柏島は足摺岬の西に位置するので)。
このように、本作では、西田と三國は四国に一緒に行くものの、ほとんど別行動。西田は全編にわたり元気なのだが、三國は沈みがちで笑顔もなく釣りに同行することもなくネガティブな役回り。ヒロイン高島礼子は、1964年生まれなので当時39歳。母親役もヒロインとしても魅力たっぷり。
海外から日本に戻ってきた新課長役の三宅裕司は、設定が生かされず、前半は西田に、後半は高島に篭絡されてしまいオリジナルの設定が生きていない。よって本作は西田と高島のダブル主演なのだが、二人の絡みは短く、心の交流も浅い。
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