里紗

パーフェクトブルーの里紗のレビュー・感想・評価

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)
5.0
いやー相当ヤバい劇薬みたいな映画を見たなと、、今敏監督デビュー作かつ出世作、あまりにも強すぎて今もまだ夢を見てるみたい。
冒頭のアイドル歌唱シーンを見て今話題の「推しの子」パフォーマンスを思い出したり。あれもあれで衝撃作であり良作なんだけどこのパーフェクトブルーの息のできなさはあまりにも、、もう2度と見たくねえ!て天井を仰ぐぐらいにはヤベーもの見たなと。

パプリカにも繋がる「夢のまた夢」を見てるような描写で、アイドルから女優に鞍替えした主人公自身が「これは現実か悪い夢か?」と疲弊するのと同じ立場と気持ちにさせてくる。眩暈がしそうなぐらいぬるぬるするする引き込まれて本当に胸がドキドキ、つらすぎる。笑
やっぱりこういうスリラー作品における「エロ描写」というのは直接そのまま「グロ」になり得るのだなあと再確認もした。

また映画館で観れたことでこの作品の「音の描写」の凝りっぷりにも気付けて満足。曲だけでなくエグいシーンの音響がみっちみちにリアルで目を伏せたくなる。
物語自体もしっかりサスペンスでありミステリでありスリラーであり、、実写作品でもここまでの艶めかしさは表現できないのでは、いやアニメ作品だからこそここまで血の匂いが届きそうなぐらいの表現ができるんだろうか、、観てすぐの今の自分にはまだ消化できん素晴らしい作品、、

「あなた誰?」と繰り返される台詞も、まじで耳に残って仕方がない。アイドルとして生きてきた主人公自身が持つものと同じ痛みを、ストーカーのファンからも感じてぞっとする。異質で理解できない存在として描かれるだけでなく、キモいとかファンヤベーよなとかで済ますのでもなく、本人と「同じ方向を見ていて」「同じものに憧れる気持ちがある」からこそのムーブメントなの相当やばい。
呪われたような真相シーンもエグ、、ミスリード誘発もあったけれどここでそれ見せてくるのしんど、、
もう天才。まじで唸る。この監督が今の世をもし生きていたら、一体どんな作品を生み出してくれたんだろうと本気で思う。生き返ってくれんかな
里紗

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