しっかりと話の筋は理解出来る作りでありながら、徐々に入り組んでくる構造が主人公・未麻、そして観客の心理と見事にリンクしていく。
未麻の妄想…?
未麻が出演しているドラマ…?
それともやはり現実…?
“本物”はどれ…?
未麻の周囲で起こる殺人事件という、
映画の推進力にあたる部分には明確な答えを用意して観客を満足させつつ、入り組んだねじれはそのままに去っていく絶妙なバランス感覚が素晴らしい。
未麻が言う、
「“彼女”のおかげで今の私がある」という台詞は意味深。
ポジティブな台詞のようで、私には“本物”という深淵に一歩近づいてしまったかのような仄暗い印象を受ける。
この映画のラストは今まで観た全ての映画の中でトップクラスに好きだ。
あの笑み。
アニメだが、間違いなく主演女優賞だ。
彼女は“本物”だ。