くぅー

つぐないのくぅーのレビュー・感想・評価

つぐない(2007年製作の映画)
3.9
予告編を見る限りでは、戦火をくぐり抜けた恋物語を文芸的に描いてるのかと思いきや・・・いい意味で裏切られました。

1930年代、戦火の忍び寄る英国のとある屋敷・・・小説家志望の幼き妹は若き使用人に好意を寄せていたが、ある晩に見た姉と使用人の愛の行為に激しく動揺し、使用人をとある事件の犯人に仕立て無実の罪を着せたのだった。
時は流れ、刑務所から戦場へ行った元使用人、彼を待つ姉、罪の意識から看護婦になった妹・・・三者三様のドラマが展開される。

そう、誰しもが大なり小なり経験する、後悔する嘘がベース・・・若き過ちで愛する二人を引き裂いた妹の苦悩が本筋となり、原題"Atonement=贖罪"が効いて来ます。

そんな中盤では、姉と使用人との恋物語がかなりドラマチックにピックアップされるので、妙な違和感がありつつも・・・終盤でのある仕掛けに、納得の余韻にはなってます。
まぁ、ハリウッド作品なら感動大作にしちまうのでしょうが・・・本作はこれでいいんです。

そして、タイプライター音を巧みに利用した音楽を筆頭に、時に悲しくも鮮やかな映像に、効果的な時間軸操作にフラッシュバック・・・実に繊細に仕込んであり、いろんな意味で"Come back to me"が印象に残ってます。

なお、キャストでは、キーラ・ナイトレイの麗しさがやはり目立ちますが・・・シアーシャ・ローナンに、ロモーラガライとヴァネッサ・レッドグレイヴの好演のリレーに尽きるかも。
さらには、ジェームズ・マカヴォイも演技派俳優としてのベールを脱いでます。
くぅー

くぅー