密林亭半魚人

フランケンシュタインの密林亭半魚人のレビュー・感想・評価

フランケンシュタイン(1931年製作の映画)
3.7
 ボリス・カーロフは、モンスターをどう演じたら良いのか悩み「大人の身体を持った赤ん坊」をコンセプトに役作りをしていったといいます。善悪の概念を持たない怪力の赤ん坊は、それはそれは危険極まりない。己を破壊しようとするものを容赦なく潰していき、欲しいものは必ず手に入れようとします。次作『フランケンシュタインの花嫁』(1935)でモンスターは盲目の老人から物事の良し悪しを学び、人間性を帯びていきますが、本作ではまったくの無垢な赤ん坊です。ただの殺人マシーンでしかありません。

 湖畔での少女マリアとの花遊びのシーンはあまりにも有名。共に湖に花を浮かべ、モンスターの手に花が無くなると「可愛い花よ」と少女を湖に放り込みます。少女は溺れ死に、村中にモンスターの存在が露呈。山狩りのクライマックスに至るこの流れが非常にスムーズで、同時期の映画群に比べると非常にスピーディ。

 ところで、モンスターは結婚式の当日に何故、花嫁エリザベスの部屋に忍び込み、予定調和のごとくエリザベスを何故襲ったのでしょうかね?アレはエリザベスを襲ったのではなく、花嫁の部屋に花がいっぱいあったから彼はやって来たのであり、エリザベスを襲ったのではなく、エリザベスの持つブーケが欲しかっただけなんですね。

 残酷な映画です。