密林亭半魚人

スプライスの密林亭半魚人のレビュー・感想・評価

スプライス(2008年製作の映画)
4.0
 超生物を生み出す倫理を逸したSFホラー。既出ネタだけど「それはやっちゃあダメでしょう」のオンパレード。久々に胸糞悪い映画を観ました。『ミスト』とまではいかないけれど、人道から外れた科学者夫婦が生み出した怪物とそれに纏わる科学の暴走を直球で描き、全く「神」の匂いがしないバチ当たりな作品です。

『フランケンシュタイン』
『獣人島(ドクター・モローの島)』
『悪魔のはらわた』
『エンブリヨ』
『デモン・シード』
『モンスター・パニック』
『ジュラシックパーク』

といった『やってはいけない事映画』の系譜的作品。

 ネタ的には実に古いんですよ。前述した『獣人島』(1932)はH・G・ウェルズの『モロー博士の島』の映画化ですが、原作にはない「改造獣人の女と人間の男を交配させて超人類を産ませる」というモロー博士の目論見が描かれ、当時存命だった原作者を怒らせたという逸話が残されてます。まだ『魔人ドラキュラ』『フランケンシュタイン』で世間がビックリしているところに、ハマーをすっ飛ばして『悪魔のはらわた』をやってしまったわけです。

 人工的に生命を生み出すSF映画は時代を超えて色褪せることなく連綿と、その時代の最新技術と解釈で作られ続けます。そして映画の中の科学者達は反省することなく、大自然の命題に挑戦し、同じ轍を踏み続けるわけです。

 これはホラー映画ファンでも「倫理的にどーなのよ?」と戸惑ってしまう作品ですな。生理的にダメな人はダメだろうなあ、これ。