こたつむり

ゾンビコップのこたつむりのレビュー・感想・評価

ゾンビコップ(1988年製作の映画)
3.0
♪ 教会の鐘が鳴り お茶の午後を知らせる午後
  確かに死んだはずのあの男が帰ってきたぜ

「ロボットの次はゾンビだぜ!」
と製作者が言ったかどうかは分かりませんが、主人公の警察官がゾンビになる…という斜め上の着想を描いた物語。でも仕上がりは“B級オブB級”でした。

だから、突拍子もない展開ばかり。
特に敵組織の“微妙な塩梅”は失笑が絶えず。上層部の“秘密の会合”を警備員たちが監視カメラで覗いていますからね。ゆるゆるです。

他も「伏線って何?」というレベルでした。
物語としても、ヒロイン枠が誰だか分からなくなるくらいに迷走していますからね。というか、バディ映画として考えたら、相棒がヒロインなのかも。うほっ。

また、それでいてグロ描写は容赦なし。
80年代の映画なので特殊効果も手作り感満載ですが、それが逆に不気味なのです(潰れかけたお化け屋敷のようにエグくて)。当分、中華料理は食べられません。

ただねえ。嫌いになれないんですよねえ。
作品として出来が良い…なんて口が裂けても言えないのですが、よく分からない“熱意”は感じるのです。本気で…バカをやるって格好良いのかも(←悪い男に騙されるタイプ)。

考えてみれば、昭和の物語ってそんな感じでした。漫画家さんで言えば、水木しげる先生や永井豪先生、魔夜峰央先生など「ネームを切らずに直に原稿用紙に描いているのではないか」と思うほどの疾走感。

だから、先を読めない展開となるわけで。
「後は野となれ山となれ」と言わんばかりの物語は、お上品な枠組みを求められる現代では確実に作れない世界。そこに惹かれたのかもしれません(←やはり悪い男に騙されるタイプ)。

まあ、そんなわけで。
完成度を楽しむのではなく、はち切れんばかりの“荒々しさ”を楽しむ物語。暴れ馬をいなすように観るのか。あるいは駄作と傑作の境界線を楽しむのか。自身の器によって捉え方は自由。大作映画に疲れたときにオススメです。

うほっ。
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