三畳

落下の王国の三畳のレビュー・感想・評価

落下の王国(2006年製作の映画)
4.3
少女が聞かせられる物語を身近な人の顔で想像しているのが微笑ましいし、少女自身が物語に飛び込んでピンチを救うところは最高にグッときた!そういう設定が大好き。自分の幼心にネバーエンディングストーリーが下地にあるからか。

ファンタジーサイドは出まかせから発端している体だけあって、期待する深みや感情描写が映像美に追いついてないかな?インド人と氷屋さんのキャラや活躍がいまいちだし、みんな死んでくと決まったらやっつけのような速さ。あと60分長くして両サイドもう少し人物がリンクしていても良かったのに?
このページのジャケット画像にしても、水辺に写ってる水面の方が正位置で、現実が逆さまになってるのが最高じゃんと観る前に思ってたから、ファンタジーサイドの呆気なさがやっぱり、納得いかない。
事実は小説より奇なり。

でも歴代の実在の遺跡や城を物語上の舞台としてがんがん使い捨てるのはすごく良くて、特にインドの階段井戸チャンドバオリから敵兵がゾワ〜と虫みたいに湧き出してくるところとか。見たことない画だったので。ダーウィンが仲間っていうのも楽しい。

それに意外と、あまり説明しない、二度言わないスタンス、大事な過去やスタントマンの悲しみなどを映しすぎずに一瞬のカットだけで過ぎちゃうのも、子供向けじゃない感じがとても良かった。

また、悪夢を人形で表現するところも不気味さをアートなこだわりでばっちり昇華してたし、写真を指で押さえて片目ずつ瞑ると指がパッと移動するのをやってるシーンも可愛く、繊細な着眼点で素晴らしい!ってところが多くて。

ラスト、モノクロ映画に合わせた少女の独白=監督からのスタントマンへのメッセージ、という構図、本当にいい!
三畳

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