shibamike

武士道残酷物語のshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

武士道残酷物語(1963年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

観ていて胸が苦しくなったり、胸焼けを起こす映画だった。が、色々考えさせられる見応えのある映画だった。

冒頭いきなり、現代の病院のシーンから映画が始まり、「あれ?武士道残酷物語じゃないの?映画館が間違えて違う映画上映しているのでは?」と本気で心配になったが、そんなことはなかった。

概要は、飯倉家のご先祖様6代(?)それぞれの日記を古い順に観ていくというもの。
江戸時代に始まり、最後は昭和。
すべてのご先祖様に共通していること。
それは「己を殺して主君に仕える」こと。

ある先祖は自分に非がなくても殿様のために自決。

ある先祖は殿様が寿命で死んだ際に、忠誠を示すために後追い腹切り。

ある先祖は、男色の殿様に身体を好き勝手されても我慢。しかし女人といちゃついたことで殿様の逆鱗に触れ、ちんぽこをちょん切られる。
ちなみに、このご先祖が初めて殿様と一夜を過ごした日の日記の内容はただ一言「忠義。」だったとのこと。さぞ筆圧高めの筆跡であったろう。

ある先祖は、妻を殿様に寝取られ(寝取られ寸前に妻が自決)、娘を自分の手で殺させられ、最後は自分も腹切り。(この先祖のパートが一番胸糞できつかった)

ある先祖は、元・殿様を自分家の2階に住まわせたら、婚約者をレイプされてしまう(ボケじじいかと思いきやエロに関してとてつもない俊敏性を発揮した元・殿様)。凄いのがその先祖は後に、婚約者に「もう一回殿様と寝てくれないか?」と告げるところ。婚約者は愕然。都合良く元・殿様が死んでくれて、めでたし。

ある先祖(主人公のお兄さん?)は、戦時中、神風特攻隊として爆撃機に乗り込む。

そして、主人公。主人公はサラリーマン。婚約者が競合企業の従業員で、会社の部長からそれとなく圧力をかけられた主人公。婚約者に「(競合企業の)機密情報を流してくれないか?」と婚約者を犯罪に巻き込む(映画ではバレなかったけれど)。

最後、主人公は自分は異常だったと気付き、婚約者とハッピーエンド。
この映画を観ている我々も当然、飯倉家は頭がオカシイ・狂っていると思って観ている訳であるが、しかし実際のところこの飯倉家を笑えなかったりするかも知れず、複雑な気分。

自分は漠然と昔の日本人は立派だったと思っていたが、この映画を観て、いつの時代の人間もそんなに大差ないのでは?という気がとてもした。そして、それは日本だけに限らず、海外の国でも案外そうなのかも知れない。

ヨロキンってお侍の格好が本当によく似合う。現代風の出で立ちだとあんまりカッコいいと思わなかったけど、お侍の格好は本当にカッコいい。

何かを信じすぎるのは良くないと改めて思わされた。
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