Mikiyoshi1986

カティンの森のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

カティンの森(2007年製作の映画)
3.7
今日でちょうど90歳の誕生日を迎えたアンジェイ・ワイダ監督。
半世紀以上もの間、戦争によって隣国から翻弄され続けたポーランドの実態を伝え、
今もなお政治色の強い作品を多く作り続けている、巨匠の中でも大変稀有な存在です。
今後もオリヴェイラ監督に匹敵するくらい長生きして、素晴らしい作品をどんどん残してほしいですね。

本作は第二次大戦中、ポーランド将校約1万数千人がソ連兵によって虐殺された「カティンの森事件」を扱っています。
終戦を迎えるとソ連は敗戦国ドイツに罪を丸ごと擦り付けてしらばっくれるという、なんとも卑劣な隠蔽偽装をやってのけたわけです。
さすがはどさくさに紛れて日本の北方領土を奪っていった火事場泥棒!
嘘つきは泥棒の始まりだなんて、昔の人は上手いこと言ったものですね。

そんな目クソ鼻クソな両国に板挟みにされていたポーランド。
長い間、民主化の道を断たれ続けたその苦節も計り知れない境地だと思います。

ラスト15分間は大変ショッキングな映像。あらゆる圧力に屈することなく、生涯を掛けてこうした祖国の史実を語り継ごうとするワイダ監督の姿勢は賞賛に値します。
Mikiyoshi1986

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