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野火の3104のレビュー・感想・評価

野火(1959年製作の映画)
3.9
白黒でより際立つ光と黒のコントラスト。細かいディティール描写に下支えされた容赦ない状況が続くも、ところどころに市川崑らしいスタイリッシュを感じる。その「線」を引いたソフトな抑制がかえって観るものの心を撃つ(例えばミッキー・カーチスの「猿」のシーンは、口元の血だけで説明が足りるしインパクトも兼ね備えている。しかし浜村純のシーンだけは突き抜けたような威力があり・・)。

普段は飄々で軽薄で心が通っていないような役が多い船越英二。ここでは別の意味で心が通っていないような虚ろな演技だが、そんな役柄だからこそ最後まで守り抜いた「正気」が際立つ。
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