ぐるぐるシュルツ

イレイザーヘッドのぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

イレイザーヘッド(1976年製作の映画)
3.7
うるさくて、煩くて、五月蠅い。

〜〜〜

心理的な「グニャグニャ」を徹底して描き続けるディビット・リンチのデビュー作。
溢れんばかりの才能。
レストア版だから、白黒なのにくっきりシャープ。古い映画には思えない臨場感。
なかなかとっつきにくかったけど、意外と見やすかった。

きっとこれは、
奇妙な別世界を描いてるんじゃなくて、
僕らが生きている、この、ただの日常世界を過剰に奇妙に歪ませて描いているだけなんだろうなと思う。

日常ご異化されて奇妙な光景に見える。
20世紀の実存主義者、
サルトルの『嘔吐』のような感覚。

〜〜〜

あの赤ん坊が笑う時が、最も気持ちが悪い。

主人公の浮気相手は知らんオヤジに寝取られて、わけのわからん怒りで張り裂けそうで、
でも終始怯えて弱気で翻弄されて。

そして、惑星の男、ラジエーターの女。

奇妙奇怪の奥底に
何故か人間がいるっているのがミソみたい。
「人間がいる」って、やたら気味が悪いんだな。