ピッツア橋本

穴のピッツア橋本のレビュー・感想・評価

(1960年製作の映画)
4.5
“掘れ!”

1960年製作のモノクロなフランス映画。囚人が力を合わせて穴を掘って脱獄計画を進めるストーリー。

本作の特筆すべきところはやはり、穴を掘るシーンの緊張感。囚人部屋の隅で5分くらい長回しのところがあるんだけど、隠し持っていたハンマーでコンクリートが削岩され、ちょっとずつ穴が広がっていく様、その一撃一撃に走る臨場感が半端なくて凝視してしまった。

BGMを極力そぎ落としている効果がとてもよく出ていて、崩れていく岩の音をはじめ、細かな所作、何かしらが擦れる音の数々が静かな迫力が心地よい。

壁に穴を開けるではなく、地下を掘るのがポイントで、そこに至るまでの構造美、質感がなんだか堪らない。モノクロ映像と非常に合っている内容だといえる。
囚人の彼らのみぞ知る徐々に新しい世界が開けていく感じ。

クライマックスからオチに至るまでの彼らの心情の変化、やりとりはめっちゃリアルだなあと思った。

『ショーシャンクの空に』でもなく『大脱走』でもない。独特の希望の見せ方と、無常観たっぷりな、名作の風格漂う一本。

因みに歌手のmiletが好きな映画の一本に挙げてたから観てみました(笑)
ピッツア橋本

ピッツア橋本