てづか

赤い殺意のてづかのレビュー・感想・評価

赤い殺意(1964年製作の映画)
5.0
まず、「なじょすっぺ」を久しぶりにきいて笑ってしまった。
耳馴染みが良すぎる。

春川ますみさん演じる貞子という女は、家の中でも女中扱いで籍も入れて貰えなくて旦那には浮気されてという不遇な扱いを受けている。にも関わらずそれに対して不満を漏らすことも無く何も言えないまま自分を殺そうとする。
そんな女性が、強盗に強姦されたことをきっかけに少しずつ変わっていくまでを描いた映画だった。

はじめはあからさまに家父長制の雰囲気を押し出していたけども、ラストでは完全にパワーバランスが逆転してる。
物言いは下からでいかにも申し訳なさそうにしながらも、自分の意見はしっかりと通すという強い意志のある女へと変わっている。

劇中、何回か繰り返される「どうして私はこんなに不幸せなんだろう」という台詞に対してのアンサーでもあるのかなという感じがした。

姑のセリフにも「女ってのは割に合わない」的なのがあったけども、その割に合わなさを作り出してるのも私たち自身なのかも。

強盗の男が何度も繰り返す「優しくして欲しいんだよ」という言葉がなんか私にはすごく切なくて何回か泣いてしまった。あの男を放っておいていけない貞子の気持ちもなんかわかる気がする。

長い映画だけど、所々で笑ってしまうところもあるし、雪の降るバス停での春川ますみさんとかめちゃくちゃ美しくてそれだけで泣けたりしてなんかすごく映画館で観れて良かったなあという気持ち。

春川ますみさんは決して美人じゃないのにすんごい色気があるし、濡れ場で西村晃の指が太ももに食いこんだ瞬間の肌の弾力とかが凄くて、彫刻みたいだなって感動した。
あと、西村晃の不倫相手の人がとってもクネクネしててなんか笑った。あんな感じで誘われたら行きたくなくなるけどなあ。
てづか

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