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シュレック2のGreenTのレビュー・感想・評価

シュレック2(2004年製作の映画)
5.0
シュレック1でめでたく結ばれたシュレックとフィオナ姫のハネムーンのシーンで幕を開けます。ここでは人魚姫がシュレックに色目を使ったため、サメの餌になる(笑)

ハネムーンから帰ったシュレックとフィオナは、フィオナの両親、「遠い、遠い国 “Far Far Away” 」の王様と女王様から「結婚したのね!披露宴をするから帰ってきて!」と手紙をもらう。

シュレックは、オルガの自分が拒絶されるのが怖くて「嫌だ!行かない!」と言うが、フィオナ姫に「あなたは私と結婚したんだから、私たちの家族の一員なのよ!」と言われる。

『シュレック』が「子供向けのおとぎ話に大人も楽しめるテイストを何気なく加えた」って感じだったのに比べて、『シュレック2』はかなり大胆に「子供向けおとぎ話を装った大人のアニメ」的な様相になってきたなあと思いました。『シュレック』が爆発的に売れたので、なんでもやっていいよ、って感じになったのかな?

この、結婚に対する考察なんて、すっごい的を得てますもんね。結婚ってのは、当人同士の問題だけじゃない、という。シュレックは、他人にどう思われるかなんて気にせず、気ままに生きたいんだけど、フィオナ姫を愛しているから、父王に気に入られるように、自分を変えなくちゃならないという葛藤がある。

父王も、娘の幸せに対する固定観念を変えられない頑固オヤジで、女王様が「娘の好きな人を受け入れるべき」という姿勢なのが「いいお母さんだなあ〜」って思わされる。

今回は、「長靴をはいた猫 Puss in Boots 」がもうめっちゃ可愛いんですけど、声がアントニオ・バンデラスってのがまたもやハマり役です。

プス(長靴をはいた猫のあだ名)の猫特有の可愛さが面白い!カッコよくキメゼリフを言っている途中で毛玉吐いちゃって「えへっ・・・」って恥ずかしそうにしたり、お願いがあるときはウルウルした目で見つめたり・・・・。なんだけど、アントニオ・バンデラスの声で、すっごいシブい怪盗を気取っているギャップが良い!

ドンキーが犬っぽいキャラなので、プスとのライバル関係も、犬と猫を同時に飼ったことがある人ならわかる!って感じ!

フィオナ姫の故郷のFar Far Away は明らかにハリウッドのパロディなんだけど、街の中にスターバックスがやたらたくさんあったり、他の店も、アバクロとかバーガー・キングとか、バスキンロビンズとか、サックス5thアヴェニューとか、店が全部パロディなのには笑った。なぜかこの街中に入ってくる時の音楽が、80年代のダンス音楽なのがまた可笑しい。

『シュレック』でもおなじみになった「おとぎ話のクリーチャー」たちは、シュレックとフィオナの沼地の家の留守番をしていて、シュレックとフィオナの披露宴の模様をTVで観ているのだが、それが完全にアカデミー賞のパロディで、ピノキオが「これ毎年面白くないんだよね〜」みたいに言うところが爆笑!

で、「緊急臨時ニュースです!」って感じで、人間になったシュレックが、白馬になったドンキーに乗って、プスと共にパトカーとチェイスしているところは、あのOJ シンプソンの「白いブロンコ・チェイス」のパロディで、その後シュレックたちが警察に捕まるところでドンキーが "police brutality"(警察の暴行)だ!って叫んでいるのが社会風刺だったり、あと、プスのポケットからマタタビ?が出てきて、まるでヤクの捜査のようなところがサイコーに可笑しい!

この一連の流れは、アメリカの『COP』っていう警察潜入モノのTV番組のパロディなんですけど、こういうのをピノキオたちが「アカデミー賞より面白い」って観ているのが笑う。

で、ピノキオ、三匹の子豚、赤ずきんちゃんのオオカミ、あとあの盲目のネズミってなんなの?たちがシュレックを救いに行くところが『スパイ大作戦』のパロディで、しかもピノキオがやっぱり性的に倒錯しているところとかわかちゃって、ああもう横隔膜が痛い(笑)

とにかくものすごい数の映画やTV番組のパロディや社会風刺が入っていて、いちいち指摘していたら話が終わらないくらい。なんかこれって、子供を連れて行ったお父さんとお母さんの方が楽しいんじゃないか?って思いました。

一個だけ個人的に解らないのは、でっかいジンジャーブレッドの怪獣が出てくるじゃないですか?あれはなんなの?ゴジラのパロディなの?『シュレック』で片足をフォークアードに粉々にされてしまったジンジーが活躍するのが私には嬉しかったけど。

なんか、『シュレック2』はさらにCGアニメーションにお金かけたらしくて、キャラの表情とかが本当に良いし、背景になっているキャラでもすごい表情豊かで面白い。シュレックとフィオナがケンカしているときのドンキーの顔!フィオナがぐさ〜っとくるようなこと言うと、ドンキーが「あ〜あ」みたいな顔するのがすっごい可笑しい!

『シュレック』と『シュレック2』は、私にとっては『ターミネーター』と『ターミネーター2』と同じ関係性で、『1』を観たら絶対『2』も観たくなる。で、『1』がなければ『2』もないんだけど、でも『1』が「良くできた小作品」なのに対して、『2』はブロックバスターに大幅に格上げされているにも関わらず、大衆的に薄められてなくて、さらにパワーアップしているという「理想の続編」!!

ネタバレはコメント欄で!
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