李

ピアニストの李のレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.8
"あなたが望むなら 何でもする。"

凄く観たかった。遂にレンタルしちゃった〜〜🤸‍♀️(っていうテンションの映画じゃない(反省)) 中年女性と美青年のキュンキュンラブストーリーではなく、素人は黙っとれレベルの変態度合い。正直かなり気持ち悪い。

ピアニスト。題名の通り、音楽院が舞台だから、シューベルトやショパン等々、ピアノの演奏シーンや音楽関連のシーンがたくさん。この芸術度が作品の静かで不穏な雰囲気とマッチして、さらに印象的な作品に仕上げてきてる。演者も皆さん本当に演奏されているから凄い。劇中で指摘されている演奏も、素人耳にはどれも素晴らしい演奏に聴こえる。そして、普通だったら画面を切り替える部分で画面を切り替えてこないから、この画面のどこかで次のアクションが起こるのかな?って注視する場面が度々。想像力を掻き立てられる。

良い歳にもなって未だに母から過剰なほどの抑圧を受けるエリカ。流行りの服も着れず、ろくな恋愛もしてきていない。その反動なのか、常日頃から決して普通とはいえない行動に走る。その歪んだ欲望を曝け出す場があるわけでもなく、「ありのままの 自分を愛してくれる人はいるんだろうか、」みたいな彼女の孤独感が終始ひしひしと伝わってきて痛々しい。性的嗜好って家庭環境とか母親との関係に左右されるものなのかな?よく分からないけど。どちらにしろ、その歪んだ形で負のスパイラルにハマってしまった彼女の姿に観ているこっちの心もずんずん沈むし、血と涙が流れる度に生気が吸い取られる、、

その中で一途に想いを伝えてくるワルター。彼がまた美青年で。2人が幸せになるに際し、このエリカの歪んだ欲望が立ちはだかる。愛しているのに愛することができない。2人の感情と欲望のぶつかり合いが体当たりでとても力強くて、それでいて繊細で。受け入れて欲しいけど受け入れてもらえない。受け入れたいけど受け入れられない。このズレがとても切ない、、たとえ愛があったもしても、倒錯した性は常人じゃどうこうできないのかもしれないね、、ただ、私にはワルターが自分の欲望を処理したいだけの人に見えちゃうんだけど、ここのところどうなんでしょうか、笑 彼についてもっと詳しく見たい。

今まで観てきた映画の中で1番呆気ないラスト。思わずえっ、って口に出た、、本当に全てが衝撃的な映画だったな〜。そして、とにかくイザベル・ユペールが美しすぎて、、女だけどずっと惚れ惚れしてた。こじらせ中年女性を演じさせたらこの方より右に出る者はいない、はず。結構好きな映画でした。
李