マヒロ

ピアニストのマヒロのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
4.0
母親に抑圧され、"女性"を抑え付けられたピアノ講師・エリカのお話。

チェリーをこじらせたまま四十代になり、性的倒錯も行くとこまでいってしまったエリカの余りにも変態がすぎる行動はもはや笑うしかないんだけど、次第にそれが身につまされてくる。若い男に熱烈なアプローチをかけられて、それに応えようとするも、経験がないので自分の変態的趣味を押し付けようとしてしまう悲しさ。友達も恋人もいないから、全ての元凶である母親に対して反発しつつも依存せざるを得ないという状況もなんとも心苦しい。

ただ、そのまま重苦しいだけで物語が終わってしまうわけではなく、少し救いのある終わり方のようにも思えた。
"初夜"を通じて自分の趣味が都合の良い幻想でしかないということに気づくことが出来て、あのナイフは今までピアノと母親に縛り付けられてきた自分との決別を意味するんじゃないかなぁ。都合のいい解釈かもしれないけど、鉄仮面のように無表情だったエリカのあの最後の表情からは、何かから解き放たれたかのような印象を受けた。

(2015.172)
マヒロ

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