マヒロ

終身犯のマヒロのレビュー・感想・評価

終身犯(1962年製作の映画)
3.0
(2024.38)
殺人の罪で服役することになったロバート(バート・ランカスター)は、獄中でもトラブルから看守を刺し殺してしまい、終身刑となり独房に入れられる。ある日、刑務所の中庭で巣から落ちてしまったスズメの雛を見つけたロバートは、ほんの気まぐれから有り余る時間をその雛の世話に費やすことにし、それがきっかけで鳥の研究にまで手を出し始め……というお話。

実際に獄中で鳥の研究をし学術書まで執筆してしまったという実在の人物ロバート・ストラウドの人生を描いた作品。傑作『大列車作戦』フランケンハイマー監督×主演バート・ランカスターのコンビということで特に内容も調べず見始めたので、こんな話になるとは思いもよらず驚いた。邦題は『終身犯』と素っ気ない感じだが、原題は『Birdman of Alcatraz』なので結構そのまんま。
事実は小説より奇なりを地で行くような話で、殺人の罪で収監された死刑囚が独房内に大量の鳥籠を置いて薬の開発に励むとか、そのビジュアルの異様さも含めて実話という前提がなかったらちょっと設定飛ばし過ぎかなと思ってしまうはず。マザコン気味なロバートと母親との関係性の変化や、鳥をキッカケで意気投合する隣人や看守との交流、彼の功績を知り興味を持って面会に訪れる女性、そして何より鳥達など、様々な関わりにより粗野だったロバートの性格が変わっていく様が見どころ。

ランタイムは150分となかなかのボリュームだが、正直それほどたっぷり時間をかけて描くようなヒキがあったかと言われると微妙なところ。
確かに起きていることはなかなか類を見ないものではあるんだけど、結局獄中で起きている出来事の話に終始するので動きや展開には乏しいし、主人公たるロバートを決定的に好きになれるようなところがないので、最後まで気持ちが乗り切らなかった。描かれる年月があまりにも長いので、このランタイムでも足りずにダイジェストっぽくなってしまっているのも勿体無いところで、もうちょっといらないエピソードを切っても良かったのかなと思った。
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