序章というのもあり、レクター博士については謎だらけで多くは語られない。
彼はサイコパスで人を食らうという情報だけ。
それが、恐怖を倍増させている気がする。
あんな警備が厳重で、暗くて不気味な地下室に閉じ込められてる凶悪犯がまともなわけではないというのは、わかっているんだけれどレクター博士はまともだっていう、錯覚すら起こる。
多くは語らなく、その少ない言葉から紡ぎだされる言葉のひとつひとつが芸術的と言っても過言でない。
まさにニヒルという言葉がぴったり。
わずか11分というだけで、あの忘れられない存在感は表現できない。
クラリスも、そんなレクター博士に惹かれていく姿にも、妙に納得がいってしまう。
どんなサスペンスより、ホラーよりも、リアルで本当に恐ろしい恐怖がそこにある。
それをクラリス演じるジョディ・フォスターが、上手く表現していて、彼女の鼓動や緊張感が、こっちにも伝わってきた。
誰でもはじめから強くはないんですね。
シャイニングを彷彿させる人間的な恐怖。
サスペンス作品がありふれている中、もっと早く見とけば良かった。
サスペンスの原点ここにあり。