Takaomi

オーロラの彼方へのTakaomiのレビュー・感想・評価

オーロラの彼方へ(2000年製作の映画)
5.0
ずっと観たかった映画のひとつ。
あまりにも素晴らしすぎて、車椅子から立ち上がってスタンディングオーベーションしそうになりました(笑)
今までに感じたことのない鳥肌と感動の余韻をくれた人生で最高のプレゼントでした。この感動をみんなと共有したい!!

タイムパラドックス系ではダントツです。この作品に勝るのものはない。
声のタイムトラベルという、ストーリー的には一見退屈そうに感じてしまいがちだけど、それがまたいいんです。
生前に誰かが大切にしていたアナログなモノと数十年に一度しか見られないオーロラで繋がるキセキが本当にロマンチックですよね。

もしあなたがもう二度と会えなくなってしまった人と過去にさかのぼって一週間だけ話ができるなら何を話しますか?話せるのであれば誰と話したいですか?

僕は昨年亡くなったおじいちゃんと一番話がしたいなあと思いました。
ここ最近はずっと認知症で面と向かって話ができなかったし、自分自身がまだ子供で未熟だったのもあったから、聞くにも聞けなかった。

じいちゃんがこれまで何を想って、何を考えて生きてきて、どういう風に世界を見て、僕たちのことを見ていたのかを夜が明けるまで聞いていたい。
そして今の活動や楽しい生活を毎日送っていること、誰よりも大切な存在で愛していることを伝えたいなとこの映画を観てそんなことを想像していました。

この主人公のジョン・サリバンも幼少期にお父さんが亡くなり、もう会えなくなって、父親がどれだけ自分を愛してくれていたか、どんな人として生きていたのかの記憶さえも失ってしまったところ、偶然とキセキが重なって、会話することができるようになるのです。

それを知ったフランクの子供時代に戻ったようなキラキラとした純粋な顔と
どこから話そうかとワクワクした父親と息子の語り合い、これまで存在しなく叶うはずもない新しい思い出、記憶を塗替えてゆくがシーンがとても印象的で感動的でした。

そして過去を変えたことで、別の人間に訪れてしまう悲劇。
最後の最後までハラハラが止まらないし、犯人を見つけた時の腹立たしさ。殺されそうになる緊迫さ。
ただのヒューマンストーリーになっていないのがまたよかった。

果たして父と息子の運命とは?

今回の物語でキーポイントとなる野球がミソであり、父親と唯一理解し合える話だった。
特にメッツの話が中心だが、それがまた面白い。好きが繋がる親と子の会話と真実。
自分が未来のことを信じてもらえないときは、これから試合で誰が打つかを言えば不思議なくらいに信じてくれるから当時のアメリカでは絶大な野球人気があったのもわかる。覚えている主人公もある意味超人だけど。

そして何といっても父ちゃんとのラストのシーンに今までに感じたことのない鳥肌と感動の余韻がジーンと押し寄せてきた。シュワちゃんみたいな安心感。
過去と今と未来すべてがリンクした瞬間にそれがひとつの存在になり、愛になり、家族になり、歴史になる。30年間の苦しみ寂しさを乗り越えてやっと父ちゃんに会えたね。

ラストの家族や友人たち大切な人たち全員と野球をやるシーンは本当に良くて、これを書いている今も何回も見返してる。たった3分のシーンにこの映画の愛のすべてが詰まっている。
人生最高のプレゼントだ。
心から感動が止まらない、生きていてよかった、家族がいてよかった。家族って父親って、息子って、野球って心から素晴らしい。

野球は9人いなければ一人だけでも欠けてしまえば、応援する人がひとりでも減ってしまえば試合は成立しない。
それと同じように家族の中で一人でも欠けて失ってしまえば これから出会う記憶やその人の生きる希望そのものが人生という長い試合の中で成り立たなくなってしまう。
こうして大切な人を想い、隣で笑いあっていられることは 奇跡の連続でこれまでの先祖が繋いできた命のバトンなんだと改めて痛感させられました。

絶対に一度は観て頂きたい、極上の作品でした。
Takaomi

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