Kota

ギャング・オブ・ニューヨークのKotaのレビュー・感想・評価

3.5
“敵も味方も今となっては関係ない。根こそぎ洗い流されたようで、また新しい街が作られるだろう。時の続く限り。”

マーティンスコセッシとディカプリオのコンビは好きだけど長すぎて敬遠していた作品。ダニエル・デイ=ルイスの引退のタイミングでやっと鑑賞。スコセッシとディカプリオが共に自分の収入を映画の予算に回したという程思い入れが強く、作り込まれた映画。

19世紀アイルランドの移民で溢れるニューヨークの無法地帯ファイブポインツで、幼い頃父を殺されたアムステルダム(レオナルドディカプリオ)はその相手でギャング組織のボスであるビルザブッチャー(ダニエルデイルイス)に復讐をするために彼の懐に入り込む。しかし二人の決闘の日はニューヨーク最大の徴兵制反対の暴動が起きた日だった。

とりあえず長いけど、この頃の未発達なニューヨークの世界観や衣装と、ラストの発展していく街をブルックリン越しに見るショットだけでも見る価値あり。復讐に燃えるアムステルダムと、絶大な権力を持つビルザブッチャーに焦点が当たり、それが世界の全てのように思わせといてからの最後の暴動は一種のマインドファック(“アポカリプト”の衝撃に似ている)。ギャングのグループ名はほとんど本当に実在していたもの。そして、“グレイテストショーマン”のモデルになったPTバーナムのサーカスも出てくる。

アカデミー“主演“男優賞にノミネートされたのはディカプリオではなくダニエル。彼の視点で見ると、激動の時代を生き抜いた一人の男として、また違う見え方になってくる。一言に復讐劇では語りつくせない。
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