NORA

笑う警官のNORAのレビュー・感想・評価

笑う警官(2009年製作の映画)
1.4
緊張感のある映画だ。悪い意味で。つまり、役者の戸惑いと焦燥が画面越しにビンビン伝わってくるのである。誰もが「この映画大丈夫か…?」という顔をしている。俺も同じ顔になりました。観客が役柄でなく役者自身に感情移入できるという意味では、稀有な映画体験かもしれない。役者とともに映画の先行きを心配しながら鑑賞できる、ある種のジェットコースタームービー。スリリングである。
なお、結論から言えば、この映画は全然大丈夫ではない。原因は言うまでもなく、監督・製作・脚本(+出演)と誇らしげに(なぜか英字で)クレジットされる、我らが角川春樹大先生その人である。おっさんが大学生の頃に着ていたレザージャケットをクローゼットから引っ張り出して街コンに繰り出したかのごとく、「かっこよさ」を履き違えた致命的なセンスの悪さが、クソ映画愛好家としてはたまらない。原作をひと捻りしたつもりが収拾がつかなくなったあげくクラッシュした壊滅的脚本。大森南朋・松雪泰子をはじめとした名優たちが棒読み大根と化す斬新な演技指導。ごっつのコントみたいなセットを背景に、俳優たちがシュールに立ち尽くす爆笑必至の空間演出。すべて春樹の采配、すべて春樹の仕業。天然なので始末が悪い。極めつけはラストのアレ。わはははははははは。やめて、やめて、もうお腹いっぱいです。後生だから、二度と映画なんか作らないでください。
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