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カルメン故郷に帰るのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

今の感覚からしてもビビッドな配色。高峰秀子がストリッパーを演じる意外性。カルメンの父親たちが酒を交わす以外の全てのシーンが屋外で展開する斬新な演出。

どれをとっても観ている分には実に面白いのだが、物語がどうも私の肌には合わなかった。経済格差とは何か。芸術とは何か。故郷とは何か。いずれの問いに対する木下監督の答え、、というより態度にはどうも納得がいかない。

芸術は当事者が対象を芸術と捉えた時点で成立する。それがたとえ世間ではストリップダンスのような芸術とは別の観方をされているものだとしても。一方で当事者と観客の認識のずれを利用して金儲けの道具にしたり、己の欲を満たしたりする輩もいる。しかし、当然ながら当事者は自分が見下されていることには気が付かない。本気で自分がしていることを芸術と信じ、そのうえ芸術が親のためだというのだからやりきれない。

こういう映画がなぜできたのか、検証の余地はあるだろうが、これを描いて何をしたかったのか、正直私には理解できなかった。私の理解力が足りていないのか、理解するほどの何かがあるような立派な映画ではないということなのか、あるいはその両方なのか、、とにかく木下監督のこういった雰囲気の映画はどうも苦手なようである。
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