イルーナ

アッシャー家の惨劇のイルーナのレビュー・感想・評価

アッシャー家の惨劇(1960年製作の映画)
3.5
バートンによるドラマシリーズ『ウェンズデー』で大きく取り上げられたエドガー・アラン・ポー作品。
いくつか読んでみたのですが、本作は『アッシャー家の崩壊』の映画版。
監督ロジャー・コーマン、ヴィンセント・プライス主演。
特にプライスはバートンの憧れの人だったわけですが、私自身今までずっとバートンの作品に触れてきたのに、彼の出演作は『シザーハンズ』しか知らなかった。
ちょうどアマプラにあったので、いい機会だと思って視聴してみたのですが……

何だこの画質の悪さは?!マジで何にも見えん!
ダビングを何度も繰り返したような画質で、細かい所が全部潰れていました。あとカットのされ方が不自然だなと思ったら、実際重要シーンなどがカットされていたらしい……
そこは残念でしたが、本作は何とアメリカ国立フィルム登録簿に登録された実績持ち。つまり、まごう事無き後世に残すべき名作。
そしてAIP(アメリカ・インターナショナル・ピクチャーズ)にとっても重要な転換点となった作品で、初のカラー作品。
いつもなら2本立て用の白黒映画を2本撮っていた所をカラーの1本に絞った勝負作だったらしい。
とは言っても、そこはB級映画の帝王ロジャー・コーマン。ポー原作にしたのは単に著作権が切れたからで、あの屋敷のセットは他の映画会社からタダで拝借したものらしい。

原作ではロデリック側が主人公を求めてましたが、本作では主人公が婚約者のマデリン(Mad line=狂気の血筋?)に会うため屋敷にやって来るという設定。
そのため、原作と違いロデリックと主人公は敵対ムード。
代々重い神経症を患っており、それぞれ罪にまみれているというアッシャー家。
屋敷自体も暖炉の火が跳ねてきたり、シャンデリアが落ちてきたりと、まるで主人公に敵対しているかのよう。
主人公はマデリンを外に連れ出そうとするが……

話そのものは、帰れと言うロデリックとマデリンを連れてこうとする主人公の押し問答がずっと続く感じ。
終盤、死んだマデリンが実はまだ息のある状態で棺に閉じこめられたと発覚してからは中々怒涛の展開でしたが。
マデリン役の方の目力が凄かったですね。そしてロデリックの「これでよかったんだ」の言葉。
呪われた血脈を断とうとしていたわけですから、むしろ救いでしょう。
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