「今日、人々は目覚める」
ミュンヘン大学で人目に隠れてナチスを
非難するビラを撒くある兄妹。
学内にも秘密警察の手は及んでいて、
見つかれば即連行される。
手に汗握る緊張感溢れるシーン。
「もういいから早く逃げて、逃げて!」
心の中で思わず叫びそうになる。
白バラ、それは反ナチスの抵抗組織。
だが武器を手に戦うわけではない。
あくまでビラを配布してヒトラー政権の
愚かさを訴えるだけである。
されど当局がそれを許すはずもない。
妹のゾフィー・ショルは取り調べや
裁判で自身の意見を堂々と述べる。
後悔などあろうはずもない。
だが、悔しさと悲しさ、恐怖に襲われ
彼女も時折感情を露わにする。
見ている私も同情を禁じ得なくなり
涙を堪え切れない。
ほとんどのドイツ国民がナチスに黙って服従
していた中で白バラは反旗を翻した数少ない
運動だ。その功績は今も燦然と輝いている。
これは決して過去の昔話ではない。
いじめが横行する学校、不正がまかり通る
組織の中で正義の声を上げるのはとても難しい。
その中で何が出来るのか己自身に問いたくなる
作品である。