やすやす

白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々のやすやすのレビュー・感想・評価

4.5
「今日、人々は目覚める」
ミュンヘン大学で人目に隠れてナチスを
非難するビラを撒くある兄妹。
学内にも秘密警察の手は及んでいて、
見つかれば即連行される。
手に汗握る緊張感溢れるシーン。
「もういいから早く逃げて、逃げて!」
心の中で思わず叫びそうになる。

白バラ、それは反ナチスの抵抗組織。
だが武器を手に戦うわけではない。
あくまでビラを配布してヒトラー政権の
愚かさを訴えるだけである。
されど当局がそれを許すはずもない。

妹のゾフィー・ショルは取り調べや
裁判で自身の意見を堂々と述べる。
後悔などあろうはずもない。
だが、悔しさと悲しさ、恐怖に襲われ
彼女も時折感情を露わにする。
見ている私も同情を禁じ得なくなり
涙を堪え切れない。

ほとんどのドイツ国民がナチスに黙って服従
していた中で白バラは反旗を翻した数少ない
運動だ。その功績は今も燦然と輝いている。

これは決して過去の昔話ではない。
いじめが横行する学校、不正がまかり通る
組織の中で正義の声を上げるのはとても難しい。
その中で何が出来るのか己自身に問いたくなる
作品である。
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