チッコーネ

ふたりの人魚のチッコーネのレビュー・感想・評価

ふたりの人魚(2000年製作の映画)
5.0
VODで久々に見直したのだが、何と愛すべき、そしてスタイリッシュな作品。
上海の裏町と蘇州河、そして大陸の若者たちを背景に、ふたりの美しい役者がロマンティックな恋物語を展開する。一人称カメラの『第三の男』がいるのも、面白い。

脚本の結末は無限にありそうで、ひとつに絞ることもなかったのにと思うが、そこを敢えてわずかなライン(台詞)だけできれいにまとめあげてしまう手腕は、確かなものだ。

デジタル撮影のグラグラ画面を避けたい瞬間もあるが、却ってフィルムのようにラフな質感が出現しているのも、かっこいい。
間接的な照明を活かしたナイトクラブの幻想的な風景は、中国でありながら、大いに無国籍な雰囲気。思い切り幻惑される。

何より本作と『ハリウッド★ホンコン』で魅せた、ジョウ・シュンのファム・ファタール的な煌めきは永遠だ。