すずき

ブレインデッドのすずきのレビュー・感想・評価

ブレインデッド(1992年製作の映画)
4.3
1950年代のニュージーランド。
思い込みの激しい娘パキータは、
よく当たる星占いに そういえば書いてあった、「今日会う人と結ばれる 今週も来週も再来週もずっと…」
という占い結果を信じ込んで青年ライオネルと恋に落ちる。
だがライオネルの母親は、息子を束縛する毒親。
パキータと息子の動物園デートを邪魔した彼女は、南海の孤島スカルアイランドから持ち込まれた珍獣「ラットモンキー」に腕を噛まれてしまう。
家で寝込むようになった母親だったが、やがてその身体はゾンビのようになり…

映画不毛の地ニュージーランドで突如現れた天才、ピーター・ジャクソン監督の初期3作のうちのひとつ。
現在ネット配信はされておらず、見るのは難易度が高い作品だが、たまたま天王寺のTSUTAYAでレンタルを発見。やったね!

本作でピージャク監督は、2人の巨匠にオマージュを捧げている。
ひとりは「特撮の神様」ことレイ・ハリーハウゼン。
コマ撮りで滑らかに動くラットモンキーのアニメーションはモロにハリーハウゼン。
更にハリーハウゼンが影響を受け、後にピージャク監督自身がリメイクする事になる「キングコング」から、スカルアイランドという地名も借用している。

もうひとりは「喜劇王」ことバスター・キートン。
主人公ライオネルはドジな男で、よく転んだり滑ったり、古典的なドタバタギャグを繰り返す。
ライオネルの叔父が、何度も股間を強打するギャグもベタベタな天丼ネタ。
スプラッタホラー+ドタバタ喜劇のジャンルミックスは、サム・ライミ監督の「死霊のはらわた2」のテンションを彷彿させる。

「映画史上最多の血糊の量」と言われる本作。
前半はあんまり血しぶきを上げず、面白さもまずまずで、こんなモノか、と思った。
ところが、パーティー会場を舞台にゾンビパニックで大立ち回りをする後半戦から、血しぶきも面白さもテンションも、アクセル全開でラストまで突っ走る!
ゾンビや人間のブッ殺し方だけでも思いつく限りのアイデアを詰め込んであり、特撮も惜しみなく使用、あらゆるネタで視聴者を楽しませる!
特に草刈機で大暴れするシーン、その5分間で風呂桶何杯分?って量の血糊!
ラスボスには巨大モンスターまで登場して、原理は分からんが凄いテンションだッ!