東朴幕院

悪霊島の東朴幕院のレビュー・感想・評価

悪霊島(1981年製作の映画)
3.6
作品公開時を含めて3度目の鑑賞。横溝正史の最後の長編原作の映画化という事で作品が持つ空気感が独特なものを感じる。この空気感は、もしかしたら角川映画がジョン・レノンの暗殺事件を一つの時代の転機として表現したかったからなのかな。それでもオープニングに少し扱っただけで効果は断片的だったという印象だ。
一方で、出演陣は中々よろしいかと。鹿賀丈史の金田一耕助に室田日出男の磯川警部は、イメージに近いものがあったね。佐分利信は変わらず渋い、岩下志麻は美しい。
その岩下志麻を妻にもつ篠田正浩監督が撮るんだから、それはドキッとする視線のショットやあんなシーンだったりとやりたい放題なのかプロ根性なのか複雑な心境だったよ。
本作品、惜しいのが結構猟奇的な箇所があったので、そちらに描写をフォーカスさせても良かったのではと。犬が死体の手を加えてトコトコ走ってるシーンや洞窟のあの置物だったりととね。
市川崑作品と比較してはいけないが合間に入る海や森のシーンに風情を感じる事が出来ずにやれやれと思わせるので有れば、そういう真似事はやらずに製作して欲しかった。
東朴幕院

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