いの

ロスト・イン・トランスレーションのいののネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画も観ていないのに、ヨハスカ好きと思っててごめんなさい。好きとただ思っていただけで全然掘っていませんでした。今作のヨハスカ観たら好きが何十倍にもなった。このときヨハスカは10代。哲学専攻だったと言われたらそうだろうそうだろうと思ってしまうような。ナチュラルな透明感と、内に秘めた繊細さが、心もとなく歩く姿と合致する。学生結婚して2年、フォトグラファーの夫に同伴して東京に来たものの、仕事で忙しい夫に対して自分は。ひとりでホテルにいて、(たぶんアメリカにいる)親に電話を掛けて、大丈夫大丈夫うまくやってるから、みたいなことを言いながら拭いきれない涙をこぼしているヨハスカの姿をみたところから私はスイッチが入ってしまい、それ以降、思い出補正かけまくってしまってもうだめです。
大学の4年間しか東京に住んでない自分が何を言うかだけど、渋谷が自分の街になったことなんてなかったな。今出かけても、自分が動くと一緒に動く地図アプリなんて読めないし(もともと方向音痴)、渋谷はいつも迷子になる。じゃあ、新宿はどうかというと、それも自分の街になんてなったことなんてない。今じぶんが棲んでいる町はどうかというと、それも自分の町だという確信のようなものはない。どこにいてもなんとなく。I’m an alien.


ヨハスカもビル・マーレイも、東京で居心地が悪いけど、でもだからといって、他所を求めたりしてないのがいいと私は思う。だってどこにいたってそうでしょ


それぞれパートナーとしっくり来ていない、年の差and身長差もあるふたりが、心を寄せ合っても、眠れない夜に一緒にいても、一線は越えないような絶妙な関係もとても良いと思うしそれもわかる。なにより、手を出さなかったビルマーレイ偉いぞ(最後はちょっとちょっとだけど)。「やれやれ」顔のビルマーレイはやっぱりいい。ロキシーミュージックのMore than thisをこのようなかたちで耳にするとは思わなかった。エンドロール後半に流れる邦楽、この選曲をソフィア・コッポラがしたのかも気になるところだ
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